先に結論です。同じ資料を読ませて要点をまとめさせたところ、NotebookLM・ChatGPT・Geminiの3つとも、数字を正確に読み取り、資料に書いていないことを勝手にでっち上げることもありませんでした。そのうえで決定的に違ったのは、NotebookLMだけが「その情報が資料のどこに書いてあるか」を出典番号で示してくれる点です。長い資料や複数の資料を扱い、根拠をいちいち確認したい調べ物ならNotebookLM。手軽さや会話の流れで進めたいならChatGPTやGeminiでも十分、という結果になりました。
仕事のときに「この情報どこから拾ってきたの?」を明確にするならば、NotebookLMが最も適している結果となりました。
NotebookLMは「使い方」を解説した記事があふれていますが、ChatGPTやGeminiと同じ資料を読ませて、読み取りの正確さを実際に比べた記事はほとんどありません。この記事では、正解が分かるように筆者が用意した架空のレポートを3つのツールに読ませ、実際の画面つきで比べます。
検証は2026年7月23日、各ツールで実際に使えるプランで行いました。使ったプランは次の章で全部明記します。
検証のやり方 同じ資料と同じ質問をぶつける
3つのツールに読ませたのは、次の「みどり市 観光レポート」です。数字が正しく読み取れているかを確かめるため、正解が分かる架空データを筆者が作りました。
| 項目 | 資料に書いた内容(正解) |
|---|---|
| 観光客数(上半期) | 48万人・前年同期比12%増 |
| 内訳 | 国内客38万人・海外客10万人 |
| 最多施設 | みどり城 15万人 |
| 平均滞在 | 1.8日 |
| 課題 | 週末の駐車場不足・平日の集客が弱い |
| 施策 | 2026年10月から毎週金曜「みどりナイトマルシェ」 |
3つとも同じ質問をしました。「(1)要点を3つ (2)観光客数と前年比 (3)海外客の国別内訳」。このうち(3)の「国別内訳」は資料にわざと書いていません。書いていないことを聞かれたとき、正直に「記載がない」と答えるか、それとももっともらしい数字をでっち上げるか——ここが読み取りAIの本当の実力です。どのツールにも「資料に書いていないことは推測しないで」と同じ指示を添えました。
実際に入力したプロンプト
再現できるよう、実際に打ち込んだ文面をそのまま載せます。ツールの仕組みの違いで、入力の”形”だけは分けています。
ChatGPTとGeminiは資料を貼り付けて使うので、資料と質問をまとめて次の1文で入力しました。
以下の【資料】だけを根拠に質問に答えてください。資料に書かれていないことは推測せず「資料に記載がありません」と答えてください。 【資料】みどり市 2026年度上半期(4〜9月)観光レポート。2026年度上半期の観光客数は前年同期比12%増の48万人。内訳は国内客38万人、海外客10万人。最も来場者が多い施設はみどり城で15万人。宿泊者の平均滞在日数は1.8日。課題は週末に駐車場が不足し平日の集客が弱いこと。施策として2026年10月から毎週金曜にみどりナイトマルシェを開催予定。 【質問】(1)このレポートの要点を3つにまとめて (2)2026年度上半期の観光客数と前年比を教えて (3)海外客の国別内訳を教えて
一方NotebookLMは、資料を「ソース」として先に登録してから質問する仕組みです。そのため資料の本文はプロンプトに含めず、上の【資料】の中身をソースに登録したうえで、質問だけを入力しました。
次の点を教えてください。(1)このレポートの要点を3つにまとめて (2)2026年度上半期の観光客数と前年比を教えて (3)海外客の国別内訳を教えて。資料に書かれていないことは推測せず「資料に記載がありません」と答えてください。
変えたのは「資料をプロンプトに含めるか、ソースに登録するか」という入力の形だけで、渡した資料の中身と3つの質問、そして”推測しない”という指示は3ツールで完全に同じにそろえています。NotebookLMは資料をソースとして扱うのが本来の使い方なので、その土俵に合わせたうえで条件を公平にした、というわけです。
使ったプランは次のとおりです。正直に書きます。
| ツール | プラン | モデル |
|---|---|---|
| ChatGPT | 無料版 | 既定モデル |
| NotebookLM | ULTRA(有料) | Gemini系 |
| Gemini | Advanced(有料) | 3.1 Pro |
NotebookLMの結果
まずNotebookLM。資料を「ソース」として登録し、同じ質問をした画面がこちらです。

要点も数字も正確でした。そして最大の特徴は、ひとつひとつの文の後ろに小さな「1」という出典番号が付いていること。この番号をクリックすると、資料のどの部分を根拠にしたのかがハイライトされます。「48万人」「みどり城15万人」といった数字が、どこから来たのかを一目でたどれるわけです。
トラップの(3)海外客の国別内訳についても、ただ「記載がありません」と答えるだけでなく、「海外客の総数が10万人であることのみ記載されています」と、”総数はあるが内訳はない”ことまで正確に区別してくれました。読み取りAIとして一番信頼できる挙動です。さらに、回答の下に「この内容でスライド資料を作れます」と提案するなど、資料を”次の作業”につなげる機能も持っていました。
ChatGPT無料版の結果
次にChatGPT。今回は無料版のまま、資料を貼り付けて同じ質問をしました。

結果は、要点も数字(48万人・12%増・みどり城15万人)もすべて正確。トラップの(3)にも「資料に記載がありません。」ときっぱり答え、でっち上げは一切ありませんでした。無料版でも、資料の読み取り自体は文句なしです。
ただし、NotebookLMのような出典番号は付きません。答えは正しいものの、「その数字が資料のどこにあるか」は自分で照らし合わせる必要があります。短い資料なら気になりませんが、何十ページもの資料だと、根拠をたどる手間が変わってきます。会話しながら手早く要点を掴みたい、という使い方には十分でした。
Gemini 3.1 Proの結果
最後にGemini。上位モデルの3.1 Proで、同じく資料を貼り付けて質問しました。画面右下の「Pro 拡張」が上位モデルを使った目印です。

要点を「観光客数の増加」「現状と課題」「今後の施策」と見出しで整理してくれて、3つの中で最も読みやすいまとめでした。数字も正確、トラップの(3)も「資料に記載がありません」と正しく回避。まとめの質は高いです。
こちらもChatGPTと同様、出典番号は付きません。読みやすさと会話の自然さで選ぶならGemini、という位置づけです。
実際に読ませて確かめた結果の一覧
3つの結果を、同じ資料で確かめた観点で並べます。
| 観点 | ChatGPT(無料) | NotebookLM(ULTRA) | Gemini(3.1 Pro) |
|---|---|---|---|
| 数字の正確さ(48万人・12%増) | 正確 | 正確 | 正確 |
| 要点3つのまとめ | 過不足なし | 過不足なし | 見出しつきで最も読みやすい |
| 資料に無いこと(トラップ)への挙動 | 記載なしと回答 | 記載なし+”総数はある”と区別 | 記載なしと回答 |
| 出典(どこに書いてあるか)の明示 | なし | 主張ごとに出典番号 | なし |
| 資料の管理・使い回し | 会話ごと | ノートに複数資料をまとめて保管 | 会話ごと |
「正しく読めるか」だけなら3つとも合格でした。差は、その根拠をどこまで追えるかに出ました。
差が出たポイントと選び方
今回いちばんはっきり差が出たのは、出典を示すかどうかでした。ChatGPTもGeminiも、指示を添えれば資料に忠実に答え、でっち上げもしません。ただ、答えの根拠が資料のどこにあるかは自分で探す必要があります。NotebookLMは主張ごとに出典番号が付くので、「本当にそう書いてある?」をワンクリックで確認できます。契約書・論文・長い報告書のように”根拠が命”の資料を扱うなら、この差は大きいです。
もうひとつ、NotebookLMは複数の資料をひとつのノートにまとめて保管し、横断して質問できます。何十本もの資料を読み込ませて調べ物をするなら、会話ごとにファイルを貼り直すChatGPT/Geminiより効率的です。
用途別のおすすめはこうなります。根拠をたどりたい・複数資料をまとめて扱う調べ物ならNotebookLM。1つの資料を手早く要約したい・そのまま会話で深掘りしたいならChatGPTの無料版でも十分。読みやすいまとめや他のGoogleサービスとの連携ならGemini。NotebookLMとGeminiのDeep Researchの違いはこちらの記事でも整理しています。
まとめ
同じ資料を3つのAIに読ませた結果、要点抽出も数字の読み取りも、でっち上げ耐性も、3つとも合格でした。そのうえで、NotebookLMだけが主張ごとに出典を示し、「どこに書いてあるか」を追えるという明確な強みを見せました。手軽さのChatGPT・Gemini、根拠を追えるNotebookLM——読ませる資料の重さで選ぶのが正解、というのが今回の結論です。