「無料って書いてあったから、AIで作った画像を会社のチラシに使った」。そのひと言が、あとで冷や汗ものになることがあります。フリー素材サイトの「無料」と「商用利用OK」は、実は同じ意味ではありません。とくにAIで生成された画像がからむと、規約の読み方をひとつ間違えただけで、知らないうちにアウトな使い方をしている可能性があります。
先に結論をお伝えします。フリー素材は「無料イコール何でも自由」ではなく、各サイトの規約に書かれた範囲でしか使えません。AI生成画像が混ざると、点数制限・商品化の禁止・AIへの再学習禁止という3つの落とし穴が一気に効いてきます。この記事では、いらすとや・ぱくたそ・写真ACという主要3サイトの2026年時点の公式規約を実際に開いて、どこで商用NGになるのかを整理しました。
まず押さえる結論
フリー素材の商用利用でつまずく原因は、ほぼ次の3つに集約されます。
ひとつめは使える点数の上限です。いらすとやのように「商用なら何点まで」と本数を区切っているサイトがあります。ふたつめは商品化の壁です。Webやチラシのワンポイントなら良くても、その画像をメインにしたグッズを売るのは別物として禁止されているケースが多いです。みっつめがAIがらみで一番見落とされる点で、ダウンロードした素材をさらに自分のAIに学習させる行為が明確に禁じられているサイトがあります。
「商用利用OK」という表示は、この3つをクリアしている前提での話です。逆に言えば、表示だけ見て安心するのが一番危ない、ということになります。
いらすとやは「20点まで・素材主体はNG」
いらすとやの公式利用規約を開くと、商用利用について本数の線引きがはっきり書かれています。
素材を21点以上使った商用デザイン(重複はまとめて1点)
※上記に該当する場合は有償対応の対象となります
つまり1つの商用デザインで使えるのは20点まで、21点以上になると有償対応というルールです。同じ素材を何度使っても1点と数えるので、ここはそこまで厳しくはありません。ただ、知らずに大量に使い回すとラインを越えます。
もうひとつ重要なのが、素材を主体にしたコンテンツや商品の販売が禁止されている点です。規約には「素材を主体としたコンテンツ・商品の再配布・販売(LINEクリエイターズスタンプ等も含みます)」は利用をお断りする、という趣旨の記載があります。イラストをデザインの一部として添える分には問題ありませんが、そのイラスト自体を売り物の中心にするとアウトになります。
なお、いらすとやが提供している「AIいらすとや」のような生成系サービスは、本家の無料規約とは別枠です。生成した画像を商用で使えるかどうかは、そのサービスのプラン(有料プランのみ商用可など)に依存するので、本家の規約と混同しないように気をつけてください。

ぱくたそは「商品化NG・違反は1枚1日3万円」
写真系のぱくたそは、商用利用そのものは認めています。ただし、ここにもしっかり落とし穴があります。
公式の利用規約(最終更新は2026年4月15日と記載)を読むと、商用利用は可能だが商品化して販売することはできない、と明記されています。商品化の例として、カレンダー・ポストカード・ポスター・スマホケース・グッズなどが挙げられています。Webサイトや広告の中で使うのは大丈夫でも、素材を載せたグッズを作って売るのはNG、というわけです。
AIまわりの記述もあります。ぱくたそが自前で使うAI画像生成については、フォトグラファーから許諾を得た写真だけを学習に使い第三者の著作物は使わない、という方針が書かれています。提供する側がここまで配慮しているサイトもある、という点は安心材料です。
そして見落としやすいのが罰則です。規約には、違反した場合に素材1枚につき1日あたり3万円(上限30万円)という金額が明記されています。「無料素材だから軽い気持ちで」では済まない世界だと分かります。さらに、自動化されたプログラムで素材を体系的に収集・複製・蓄積する行為も禁止されているので、スクレイピングでまとめ取りするような使い方も当然アウトです。
写真ACは「AIへの再学習が明確に禁止」
写真AC(とイラストAC)は、AI画像を商用で使う人にこそ知っておいてほしいルールがあります。
写真ACの利用規約(最終更新は2025年9月25日と記載)には、次のような条項があります。
写真をダウンロードしたか否かにかかわらず、写真ACに掲載された写真をAIの開発・学習用のデータとして利用することはできません。
これは、ダウンロードした画像をMidjourneyやStable Diffusionのような外部AIに読み込ませて学習させる行為を、はっきり禁止しているということです。「フリー素材をAIの学習元に使えば安全だろう」と考える人がいますが、少なくとも写真ACの素材ではそれが規約違反になります。
加えて、素材をそのまま、または加工して独立の取引対象として売ったり配ったりすること、素材を主要コンテンツとして製品に使うことも禁止されています。商用利用は自由でも、素材を主役にした売り方は不可という構図は、いらすとややぱくたそと共通しています。
もうひとつ時事的な話として、AC社は2025年10月10日からAI生成素材の新規投稿の受付を一時停止しています。これは投稿する側に関わる措置で、既にあるAI素材をダウンロードして使うこととは別の制度ですが、フリー素材業界がAIの扱いに慎重になっている流れを示す出来事です。
「無料」と「商用OK」がズレるパターン早見
サイトごとに事情は違いますが、商用NGになりやすいパターンには共通の型があります。下の整理を頭に入れておくと、規約を読むときの勘所がつかめます。
| つまずきポイント | よくあるNGの例 | どこに注意 |
|---|---|---|
| 点数制限 | 1つの制作物に同サイト素材を大量使用 | いらすとやは商用21点以上で有償 |
| 商品化 | 素材を載せたグッズ・印刷物を販売 | ぱくたそ・写真ACは商品化/独立販売を禁止 |
| 素材主体 | 素材そのものを売り物の中心にする | 3サイト共通で素材主体の販売はNG |
| AIへの再学習 | DL画像を生成AIに学習させる | 写真ACは開発・学習用データ利用を禁止 |
| 自動収集 | スクレイピングでまとめ取り | ぱくたそは体系的な自動収集を禁止 |
| 規約変更 | 過去の感覚のまま使い続ける | 各サイトとも更新あり。利用日時点の版を確認 |
ここで強調しておきたいのは、規約は変わるということです。ぱくたそは2026年4月、写真ACは2025年9月に更新の記載があり、内容は時間とともに動きます。数年前の「商用OKだった」という記憶は当てにせず、使う直前に最新の規約を開く習慣がいちばんの保険になります。
よくある質問
フリー素材のAI画像は、加工すれば商用に使っても大丈夫ですか。
加工の有無は本質ではありません。点数制限・商品化の禁止・素材主体での販売の禁止といった規約上の制限は、加工してもそのまま残ります。まずは各サイトの規約で「自分の使い方」が許可されているかを確認するのが先です。
ダウンロードしたフリー素材を、自分のAIモデルの学習に使ってもいいですか。
写真ACのように、AIの開発・学習用データとしての利用を明確に禁止しているサイトがあります。一律でOKとは言えないので、学習利用を考えるなら必ずその素材サイトの規約を確認してください。禁止が書かれていれば使えません。
「商用利用OK」と書いてあれば全部安全ですか。
いいえ。「商用利用OK」は点数や商品化などの条件を満たした範囲での話です。本数の上限、グッズ化の禁止、再配布の禁止など、別の条項で引っかかることがあります。表示だけで判断せず、規約の本文まで読むのが安全です。
念のための注記です。この記事は2026年6月時点で各サイトの公式利用規約を確認してまとめたものです。規約は予告なく変わることがあり、個別のケースで適法かどうかの最終判断はできません。実際に使う前に必ず各サイトの最新の利用規約を読み、判断に迷う場合は各サイトの運営や専門家へ確認してください。