Claude Codeで/clearすると直前の作業をAIが忘れる理由と対処とは?

不具合を直そうとして/clearを実行したら、立ち上がった新しいAIが、ついさっきまで一緒に作っていた内容をまったく知らない。「その記事とは何のことですか」と聞き返してくる。せっかく作った成果が、どこを探しても見当たらない。これは故障でも、AIの記憶障害でもありません。/clearというコマンドの仕様どおりの正常な動作です。

この記事では、なぜ作業が消えるのか、/clearが実際に何を消して何を残すのか、/compactとの決定的な違い、そして二度と成果を失わないための具体的な手順を解説します。

先に結論

  • /clearは会話を丸ごと消す。会話の中だけにある成果は一緒に消える
  • 残るのはディスク上のファイルだけ。ファイル化されていない文章や計画は消滅する。
  • 連続性を保ちたいなら/clearではなく/compactを使う。要約が引き継がれる。
  • 大事な成果はclearの前にファイルへ保存。これが唯一確実な対策。

こんなことが起きていませんか

AIと一緒に長い文章や設計を作り込んだあと、動作が重くなったので/clearで気分一新しようとする。ところが新しいセッションのAIは、直前の成果を一切覚えていない。指示の前提も、作りかけのドラフトも、決めたはずの方針も、まるで最初から存在しなかったかのように消えている。「さっきの続きから」と頼んでも、AIには「さっき」が無い。これは多くの人が一度はぶつかる落とし穴です。

何が起きているのか

/clearは、これまでの会話のやり取りをまるごと消去して、まっさらな状態から始めるコマンドです。ここで決定的に重要なのは、会話の中だけに存在していた成果は、会話と一緒に消えるということ。AIが画面に書き出した文章、立てた計画、作りかけの記事のドラフトは、ファイルとして保存されていない限り、跡形もなく消滅します。新しいAIにとっては、それは「最初から存在しなかったもの」と同じです。だから認識できない。記憶を失ったのではなく、そもそも参照できる記録がどこにも残っていないのです。

/clearが消すものと残すもの

仕組みを正確に押さえると、対策が一気に明確になります。新しいセッションは、起動時にプロジェクトの設定ファイルを読み直し、ディスク上のファイルは読めます。しかし過去の会話そのものは復元されません。

残るもの(永続) 消えるもの(揮発)
ディスク上のファイル全般 これまでの会話のやり取り
プロジェクト設定ファイル AIが応答に書いた文章や計画
引き継ぎ用のメモファイル 未保存の記事ドラフト
明示的に書き込んだメモリ 口頭で「覚えておいて」と頼んだ内容

つまり「ファイルになっているかどうか」が、生き残るかどうかの分かれ目です。これは不具合ではなく、文脈(コンテキスト)の肥大化をリセットして動作を軽く保つための、意図された設計です。

見落としがちな分岐点 /clearと/compactは別物

図解:/clearは会話を丸ごと消し、/compactは要約に圧縮して残す
図解:/clearは会話を丸ごと消し、/compactは要約に圧縮して残す

ここを知っているかどうかで、結果が大きく変わります。

  • /compact は、会話を要約して圧縮します。細部は削られますが、要点は短い形で引き継がれます
  • /clear は、完全消去です。要約すら残りません。

言い換えると、もし/clearではなく/compactを使っていれば、作りかけの内容の要約が残っていた可能性が高いのです。「動作は軽くしたいけれど、直前の作業は失いたくない」というとき、選ぶべきは/clearではなく/compact。この一語の違いが、成果を残せるかどうかを分けます。

作業を失わないための手順

じゃあ具体的に作業をClaude Codeが忘れなくさせるにはどうしたらいいの?ってなりますよね。

手順としては以下の通りです。

  1. 重要な成果はclearの前に必ずファイルへ保存する。記事ならテキストファイルやドラフトに。AIに「いったんファイルに書き出して」と頼むのが確実です。
  2. 引き継ぎメモを残す。「次にやること」をファイルに書いておけば、新しいセッションがそれを読んで作業を再開できます。
  3. 完全消去が不要なら/compactを使う。要約が残るので、連続性を保てます。
  4. ツールが不調でAIが保存できないときは、自分でコピーして退避する。AIが画面に出した本文を、自分の手でメモ帳などにコピーしてから/clearする。会話の外に逃がしてしまえば消えません。

会話の外に逃がすって、手間なんでめっちゃめんどいんですけど、まぁしょうがないですよね…。

ツールが壊れているときに起きる最悪のパターン

注意したいのは、別の不具合と重なったときです。たとえばAIの保存機能そのものが一時的に壊れていると、記事をファイルにできない。その状態で/clearすると、会話の中だけにあった成果がそのまま消える。「保存できない」と「/clearで会話を消す」が同時に起きると、成果はどこにも残りません。だからこそ、ツールが不調なときほど、clearする前に自分の手でコピーして外に出す。この一手間が、取り返しのつかない消失を防ぎます。

よくある質問

消えた会話は復元できますか

会話の中だけにあった内容は、基本的に復元できません。だからこそ、消える前にファイル化しておくことがすべてです。

毎回/compactにすればよいのでは

長く使い続けると要約も積み重なって重くなります。区切りでは/clear、作業継続中は/compact、と使い分けるのが現実的です。

AIに「覚えておいて」と言えば残りますか

会話の中で言うだけでは残りません。ファイルや明示的なメモに書き込まれて初めて、次のセッションに引き継がれます。

正直に言える限界

/clearの内部実装の細部(バッファの扱いなど)は、Claude Codeのバージョンによって変わり得ます。本記事は、観察された挙動と、各コマンドに与えられている役割に基づく説明ですなのえ、今後仕様が変わる可能性もありますし、私たちユーザーにできることとしては別途仕組化するぐらいですかね。

まとめ

/clearのあとにAIが作業を忘れるのは、記憶障害ではなく仕様です。会話の中の成果は揮発し、ディスク上のファイルだけが残る。だから大事な作業はclearの前にファイル化し、連続性を保ちたいなら/clearではなく/compactを選び、ツールが不調なら自分の手でコピーして退避する。この3つを習慣にすれば、「全部消えてしまった」という事故は二度と起きません。

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