「今年の夏祭りの案内、お願いね」と回ってきたものの、いざ書こうとすると手が止まる。日時と場所はいいとして、雨天のときはどう書く?去年の文面はどこいった?——役員になって初めて案内文を任された方なら、一度はこの空白の画面と睨めっこした経験があるはずです。
そこで、ChatGPTやGeminiに案内文とポスター用の文言を作らせて、抜け漏れがないか直していく作業を実際に試しました。結論から言うと、ゼロから書くより圧倒的に速いです。ただし、そのまま貼って終わりにはできない部分もありました。役員が押さえておくべき定番の項目と、AIに頼むコツ、そして連絡先を入力しないための注意まで、順番に書いていきます。
結論。AIにたたき台を作らせて役員が地名と日時だけ直す
先に答えを言ってしまうと、いちばん楽なのは「骨組みはAIに作らせて、自分の地区の固有情報だけ人が埋める」というやり方です。
案内文には定番の型があります。時候の挨拶から始まり、趣旨を述べ、催し物を紹介し、最後に日時・場所・連絡先を箇条書きでまとめる。この型はAIがとても得意で、「自治会の夏祭りの回覧用の案内文を書いて」と頼むだけで、それらしい文章が数秒で出てきます。
人がやるべきなのは、出てきた文章に自分の地区の実情を上書きする作業です。会場の正式名称、当日の時間、雨天のときの判断、問い合わせ先。このあたりはAIが知りようがないので、空欄にしておいてもらって後から埋めるのが確実でした。完全にお任せではなく、半分だけお任せにするのが失敗しないコツです。
役員が入れ忘れやすい案内文の定番項目
AIに頼む前に、そもそも案内文に何を入れるべきかを知っておくと、出てきた文章の抜けに気づけます。自治会・町内会の案内文には昔からの慣例的な型があり、文例サイトでもおおむね共通しています。
文書全体は、前文・主文・記書きの三段で組むのが基本です。前文には発行日・宛名(地域住民各位など)・発信者(○○自治会 会長)を置きます。主文では時候の挨拶から入り、開催の趣旨を述べ、焼きそばや盆踊りといった催し物を紹介して、最後に「ご家族そろってお越しください」と参加を呼びかけます。そして「記」として下記の項目を箇条書きでまとめ、最後を「以上」で結ぶ。これが回覧でも掲示でも通用する形です。
箇条書きにする「記書き」で外せないのが、次の項目です。
- 日時(日付・曜日・開始/終了時刻をセットで)
- 場所(会場の正式名称。慣れない人向けに目印も)
- 内容(出店・盆踊り・抽選会など当日の見どころ)
- 参加条件・費用(無料か、子ども会費があるか等)
- 連絡先(問い合わせ先。電話とは別に役員名も)
さらに、見落とされがちなのが次の補足項目です。雨天のときに決行か中止か順延か、中止の連絡はどこで分かるのか。当日に車両通行止めや交通規制があるか。駐車場はあるか、ないので徒歩でお願いしたいか。このあたりは住民から必ず問い合わせが来る部分なので、最初の案内に書いておくと後の電話対応がぐっと減ります。「日時・場所・内容・参加条件・連絡先」の五点に「雨天時」を足した六点を、AIへの指示にそのまま盛り込むのが手堅いやり方でした。
そのまま使える案内文の作成プロンプト
ここまでの項目を全部AIに伝えれば、抜けの少ないたたき台が出てきます。私が使ってうまくいった指示文を載せておきます。ChatGPTでもGeminiでも、ほぼ同じ文面で動きました。
「あなたは町内会の広報担当です。夏祭りの回覧用の案内文を、丁寧でやわらかい日本語で書いてください。文書は『前文(発行日・宛名・発信者)→時候の挨拶→開催の趣旨→催し物の紹介→参加の呼びかけ→記書きで詳細を箇条書き→以上で結ぶ』の構成にしてください。記書きには『日時・場所・内容・参加費・雨天時の対応・連絡先』の項目を必ず入れ、具体的な値はわからないので【日時を記入】【場所を記入】のように空欄の差し込み枠にしてください。文章量はA4で半分くらいを目安にしてください。」
ポイントは、空欄を【 】で残してもらうように頼むところです。こうしておくと、後から自分の地区の値を上から埋めるだけで完成します。日付や会場名を先にAIに伝えてしまうと、後で説明する個人情報・固有情報の入力リスクが出てくるので、あえて空欄のまま作らせるのが安全です。
ポスターの文言が欲しいときは、続けてこう頼みます。「同じ夏祭りのポスター用に、目を引く見出しと、ひと目で伝わる短い文言も3案ください。読みやすいように行は短めにしてください」。案内文とは別に、大きく見せる用の短いコピーが出てきます。

AIの出力をそのまま使わず読みやすさを直す
出てきた文章は、たたき台としては優秀ですが、そのまま回覧するには直したい癖もありました。
まず、AIの文章はどうしても堅くなりがちです。「開催する運びとなりました」「ご臨席賜りますよう」といった、住民向けの回覧には少し仰々しい言い回しが混じります。そういう箇所は「もう少しやわらかく、近所の人に話しかけるような感じで」と追加で頼むと、ぐっと読みやすくなりました。高齢の方も読む回覧なら、漢字を減らして一文を短くしてもらうのも効きます。
次に、抜け漏れのチェックです。出てきた文章を見て、前の章で挙げた六点(日時・場所・内容・参加費・雨天時・連絡先)がそろっているかを指で追って確認します。雨天時の一文が抜けていることが何度かあったので、「雨天時の対応の行を必ず入れて」と念押しすると確実でした。AIに「この案内文に役員として入れ忘れている項目はありませんか」と聞き返すと、向こうから補足を提案してくれることもあります。
そして最後に、いちばん大事な注意です。会場の住所、役員の氏名、問い合わせ先の電話番号といった個人情報・固有情報は、AIに入力しないでください。ChatGPTは初期設定のままだと、入力した内容がモデルの改善(学習)に使われる場合があります。学習をオフにする設定はありますが、オフにしていても氏名・住所・電話番号は入力しないのが安全、というのが各種の解説で共通した見解です。だからこそ前の章のプロンプトでは、これらを【 】の空欄にして作らせています。出来上がった文章をワードやメモ帳にコピーしてから、連絡先や会場名は手元で書き加える。この一手間で、安心して使えるようになります。
よくある質問
Q. AIが作った案内文をそのまま回覧に回しても大丈夫ですか。
たたき台としては使えますが、そのままは避けたほうが無難です。日時・場所・連絡先などの固有情報は空欄で作らせて自分で埋め、言い回しが堅い部分はやわらかく直し、雨天時の対応が抜けていないかを必ず確認してから回してください。
Q. 会場の住所や役員の電話番号もAIに入力したほうが、きれいな案内文ができますか。
できあがりは整いますが、おすすめしません。ChatGPTなどは設定によって入力内容が学習に使われる場合があり、氏名・住所・電話番号は学習をオフにしていても入力しないのが安全とされています。それらは【記入欄】として空欄で作らせ、後から手元で書き加えてください。
Q. ChatGPTとGemini、案内文づくりはどちらがいいですか。
どちらでも同じようなプロンプトで案内文もポスター文言も作れます。使い慣れたほう、スマホで開きやすいほうで構いません。両方に同じ指示を出して、出てきた文章のうち読みやすいほうを採用する、という選び方もできます。