毎月クレジットカードからChatGPTの利用料が引き落とされていく。確定申告の時期になって「これ、経費にできるんだよな?でも勘定科目って何にすればいいんだ…」と、freeeやマネーフォワードの入力画面で手が止まった――そんな人は多いと思います。
しかも相手は海外のサービス。消費税はどう扱うのか、インボイスはどうなっているのか、按分は必要なのか。調べ始めると不安になる論点がぞろぞろ出てきます。
先に結論を言うと、業務で使っているChatGPT利用料はふつうに経費にできます。勘定科目も難しく考える必要はありません。ただ、2025年と2026年で消費税まわりの扱いが変わっているので、そこだけ押さえておくと安心です。実際の入力画面を思い浮かべながら、順番に片付けていきましょう。
なお税務の最終判断は人それぞれの事業実態で変わります。本記事は2026年6月時点の一般的な考え方の整理であり、迷ったら顧問税理士か所轄の税務署に確認してください(具体的な金額・取引の可否を断定するものではありません)。
結論:勘定科目は「通信費」か「支払手数料」でOK。大事なのは一貫性
ChatGPT利用料の勘定科目に「これが唯一の正解」というものはありません。複数の税理士事務所の解説を見ても、
- 通信費(インターネット経由のサービスだから。情報収集・文章作成補助の用途に)
- 支払手数料(業務の自動化・外注の代替と考えるなら)
- そのほか 新聞図書費・諸会費・ソフトウェア利用料・雑費 なども実態に合えば可
このあたりから、自分の事業の実態に合うものを選べば足ります。可児税理士事務所も「情報収集・文書作成補助なら通信費、業務自動化・外注代替なら支払手数料」と用途で分ける整理を示しています。
ここで一番大切なのは、科目名そのものよりも一度決めた科目を使い続けること(継続性)です。去年は通信費、今年は雑費…とコロコロ変えると、調査で「なぜ?」と聞かれたときに説明しづらくなります。最初に「うちはChatGPTは通信費」と決めて、それで通す。これが実務でいちばんラクで、ツッコまれにくいやり方です。
仕訳の実例:月3,000円(税込)のChatGPT Plusを処理する
言葉だけだとピンとこないので、具体的な仕訳で見てみます。2026年現在、日本の新規ユーザー向けのChatGPT Plusは月額3,000円(税込)で案内されています(2026年1月30日から円建て・税込表示に切り替わりました)。
ここでは税込3,000円=本体2,727円+消費税273円として、税抜経理の例を挙げます(端数処理は会計ソフトの設定で多少ズレることがあります)。
クレジットカードで支払った場合(支払手数料で計上する例)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 2,727円 | 未払金 | 3,000円 |
| 仮払消費税 | 273円 |
そして翌月などにカードの利用代金が口座から引き落とされたときに、未払金を消す仕訳を入れます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 3,000円 | 普通預金 | 3,000円 |
「通信費」で処理したいなら、上の借方を「支払手数料」→「通信費」に置き換えるだけです。税込経理(消費税を分けない方式)を採用している個人事業主なら、もっとシンプルに「通信費 3,000円 / 未払金 3,000円」の1行でも構いません。自分が普段どちらの方式かに合わせてください。
ちなみにクラウド会計を使っていれば、クレジットカードを連携しておくと取引が自動で取り込まれます。あとから勘定科目と税区分を当てるだけなので、手入力の仕訳を毎月切る必要はほぼありません。
消費税とインボイス:2025年で扱いが変わった重要ポイント
ここが今回いちばん押さえてほしいところです。ChatGPTは海外(OpenAI)のサービスなので、消費税の扱いに歴史があります。
ポイントは、OpenAI Japan合同会社が2025年1月1日付で適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録されたことです(登録番号は国税庁の「インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」で実際に確認できます)。
これにより、
- 2025年1月以降のChatGPT利用料 → 消費税区分は「課税仕入(10%)」。適格請求書(インボイス)と帳簿を保存すれば仕入税額控除の対象になります。freeeなら税区分を「課税仕入10%」に設定。
- 2024年12月以前 → 税区分は「対象外(不課税)」で処理していたケースが一般的でした。
つまり、いまから経費に入れる分については、課税仕入10%で処理して問題ない、というのが2026年時点の実務の流れです。会計ソフトのデフォルトが古い設定のまま残っていることがあるので、税区分が「課税仕入10%」になっているかだけ一度確認しておくと安心です。
リバースチャージは多くの個人事業主には関係しない
「海外サービス=リバースチャージ方式が必要では?」と心配する声をよく見ますが、リバースチャージ方式が適用されるのは課税売上高5億円超、または課税売上割合95%未満の事業者に限られます。多くの小規模な個人事業主・中小事業者には当てはまらないので、過度に身構えなくて大丈夫です(自社が該当しそうなら税理士に確認を)。
領収書・インボイスの保存(電子帳簿保存法)
ChatGPTの支払いはオンライン完結なので、電子取引にあたります。受け取った請求書・領収書(PDF)は紙に出すのではなく、電子データのまま保存するのが原則です。
OpenAIの場合、ChatGPTの設定画面の課金(Billing)メニューから過去の請求書をダウンロードできます。月に一度、まとめて落としてクラウドや会計ソフトに保管しておくクセをつけると、確定申告のときに「あの月の領収書がない…」と慌てずに済みます。仕入税額控除を受けるには、この適格請求書(インボイス)の保存が条件になる点も忘れずに。
業務とプライベートで併用しているなら「家事按分」
個人事業主で、ChatGPTを仕事にも私生活にも使っている場合は、業務で使っている割合だけを経費にします(家事按分)。
たとえば「だいたい仕事8:プライベート2」くらいの使い方なら、月3,000円のうち80%=2,400円を経費に計上する、という考え方です。按分割合は適当に決めるのではなく、利用時間や用途など自分なりに説明できる根拠を持っておくのがコツ。法人で完全に業務利用なら、按分は不要で全額計上できます。
よくある質問
Q. 通信費と支払手数料、結局どっちが正解ですか?
A. どちらでも税務上は通ります。情報収集や文章作成の補助という色が濃ければ通信費、外注やツールによる業務代替という色が濃ければ支払手数料、と考えると選びやすいです。大事なのは選んだ後に毎年変えないこと。雑費でも実態に合えば否定はされませんが、金額が積み上がると目立つので、専用の科目に寄せておくほうが無難です。
Q. 無料プランから有料(Plus)に切り替えました。過去にさかのぼって経費にできますか?
A. 経費にできるのは実際に支払った有料分です。無料利用に費用は発生していないので対象外。有料に切り替えた月以降の支払いを、領収書(インボイス)とともに計上していきます。
Q. ChatGPT TeamやProなど高額プランでも同じ考え方ですか?
A. はい、勘定科目・消費税の考え方は基本的に同じです。金額が大きくなる分、業務利用であることの説明や領収書の保存はより丁寧にしておくと安心です。なお金額・プランは改定されることがあるので、計上前に自分の請求額をOpenAIの請求画面で確認してください。
最後に
ChatGPT利用料の経費処理は、ふたを開けてみれば「業務で使っているなら経費にできる/科目は通信費か支払手数料/税区分は課税仕入10%/インボイスを保存」――この4点を押さえるだけです。2025年にOpenAIがインボイス登録事業者になったことで、海外サービス特有の面倒さもかなり減りました。
ただし、按分割合の妥当性や自社がリバースチャージの対象かどうかなど、事業の実態によって判断が分かれる部分は残ります。最終的な処理は2026年時点の最新ルールを踏まえつつ、顧問税理士または所轄の税務署に確認したうえで、自分の責任で進めてください。本記事はあくまで考え方の整理であり、個別の税務助言ではありません。