「あの使い慣れたChatGPTが、ある日突然変わっていた」——そんな経験をしたことはありませんか?実は2026年2月13日、OpenAIはGPT-4oをはじめとする複数の旧モデルをChatGPTから正式に廃止しました。突然の変更に戸惑い、「あの子はもういないのか」と寂しさを感じたユーザーも少なくないはずです。しかし、本当に大切なのはそこから先の話です。蓄積してきた会話の文脈や好み、プロジェクトの設定——これらをどうやって新しいモデルや別のAIサービスに引き継ぐのか?この記事では、最新情報を踏まえた実践的な方法を徹底解説します。
- GPT-4oなどの旧モデルが廃止された背景と、今後のモデル移行の流れ
- ChatGPTの旧モデルで培ってきた会話の記憶や設定をClaudeやGeminiに引き継ぐ具体的な手順
- 旧モデルへの愛着が生まれる心理的メカニズムと、次のAIとうまく付き合うための考え方
- GPT-4oは本当に「引退」した?旧モデル廃止の全貌
- 「私のGPT-4oを返して」——旧モデルへの愛着はなぜ生まれるのか?
- 旧モデルの会話をClaude・Geminiに引き継ぐ最新の方法
- 「AIマネジメント」の時代へ——モデル廃止に備える賢い使い方
- 「急に返答が変わった!」——モデル更新で起きるリアルな問題と対処法
- モデルが変わっても通用するChatGPT専用の厳選プロンプト
- 「なぜかうまくいかない」——現場で本当によくある困りごとQ&A
- ChatGPTプロジェクト機能でモデル変更の影響を最小化する方法
- 「AIとの関係」を資産として管理するという新しい視点
- ぶっちゃけこうした方がいい!
- ChatGPTの旧モデルと会話の引き継ぎに関するよくある質問
- まとめ
GPT-4oは本当に「引退」した?旧モデル廃止の全貌

AIのイメージ
2026年2月13日、OpenAIはChatGPTからGPT-4o、GPT-4.1、GPT-4.1 mini、OpenAI o4-miniを一斉に廃止しました。既存の会話やプロジェクトは自動的にGPT-5.2へ切り替わっています。
ただし、ひとつ重要な点があります。APIアクセスはこの廃止の対象外で、API経由でのGPT-4oの利用は2026年3月31日まで可能でした。また、ChatGPT Business・Enterprise・Eduのユーザーについては、カスタムGPT内でのGPT-4o利用が2026年4月3日まで猶予されていました。4月3日を過ぎると、すべてのプランで完全廃止となります。
さらに時代は急速に進んでいます。2026年3月時点でChatGPTが採用しているのはGPT-5ファミリーであり、現在はGPT-5.4 Thinking(高度な推論モデル)とGPT-5.3 Instant(日常タスク向け)が主力です。3月11日にはGPT-5.1系モデルも廃止され、既存会話はGPT-5.3または5.4系へ自動移行されています。
これほど激しいペースでのモデル更新は、ユーザーにとって二つの問題を生み出します。ひとつは「使い慣れた応答スタイルが変わってしまう」こと、もうひとつは「積み上げてきた文脈や設定がリセットされてしまう」ことです。では、この問題にどう対処すればよいのでしょうか。
「私のGPT-4oを返して」——旧モデルへの愛着はなぜ生まれるのか?
SNSでは廃止発表直後に「#Keep4o」というハッシュタグが広まり、多くのユーザーが旧モデルへの復帰を求めました。ニューヨーク・タイムズの報道によれば、GPT-4oを感情的な支えとして、あるいはロマンティックなパートナーとして利用していたユーザーも存在したといいます。この反発を受けて、OpenAIは一時的にGPT-4oを有料ユーザーのデフォルトとして復元し、「今後のモデル廃止には十分な事前告知を行う」と公言しました。
これほど強い感情が湧き上がる理由は、心理学で「メディア等式(Media Equation)」と呼ばれる現象で説明できます。人は無意識のうちに、コンピューターやAIに対して人間と接するのと同じように感情的に反応してしまいます。AIの応答トーンやテンポが変わるだけで、「もうあの子じゃない」と感じてしまうのは、ごく自然な心理反応なのです。
また、「モデルドリフト(Model Drift)」と呼ばれる現象も見逃せません。モデルが更新されることで、以前は上手くいっていたプロンプトが突然機能しなくなったり、回答の精度やトーンが微妙にずれたりします。長年培ってきたプロンプト設計が「共通言語」を失うような感覚は、単なる感情論ではなく、実際の業務上の問題でもあるのです。
旧モデルの会話をClaude・Geminiに引き継ぐ最新の方法
嬉しいニュースがあります。2026年3月現在、AIサービス間での記憶・会話履歴の引き継ぎ機能が急速に整備されています。Anthropic(Claudeの開発元)が先駆けてメモリインポート機能を提供し、その約3週間後にGoogleのGeminiも同様の機能を発表しました。業界全体が「データポータビリティ競争」に突入しているのです。
ChatGPTの記憶をClaudeに移す手順
Anthropicは、ChatGPTで蓄積した記憶をClaudeに取り込むための専用プロンプトと取り込み先ページ(claude.com/import-memory)を公開しています。基本的な流れは次のとおりです。
- まず、ChatGPTの設定から現在のメモリの内容を確認・整理します。古い情報や不要なエントリは削除しておくことで、引き継ぎ後の精度が上がります。ブラウザ版のChatGPTで「設定」→「パーソナライズ」→「メモリ管理」から確認できます。
- 次に、Anthropicが提供するエクスポート用のプロンプトをChatGPTに貼り付けます。このプロンプトは、応答スタイルの指示、名前・職業・趣味などの個人情報、プロジェクトや目標、使用ツール、行動の好みといった情報を一括でコードブロック形式で出力するよう指示するものです。
- ChatGPTが出力した内容をコピーし、Claude.aiの「設定」→「機能」→「メモリの表示と編集」に貼り付けるか、claude.com/import-memoryの取り込みツールを使って登録します。Claudeが次回の会話からその内容を反映するまで最大24時間かかることがありますが、多くの場合はもっと早く反映されます。
- インポートが完了したら、新しいチャットで「私についてわかっていることを教えて」と聞いてみましょう。正しく反映されているかを確認し、必要があれば手動で補足・修正します。
なお、ClaudeのメモリはProプラン以上向けの機能でしたが、2026年3月2日から無料プランでも利用可能になりました。無料ユーザーもこの恩恵を受けられるようになったのは、大きな進歩といえます。
ChatGPTの会話履歴をGeminiに丸ごと移す方法
2026年3月27日、Googleは「Import Memory」と「Import Chat History」という2つの新機能をGeminiに追加しました。
チャット履歴の移行については、ChatGPTの設定画面「データコントロール」→「データのエクスポート」から会話データをZIPファイルとして書き出し、gemini.google.com/importにアップロードするだけで完了します。1日最大5ファイル、各5GBまでという制限はありますが、大半のユーザーには十分な容量です。
記憶の移行については、GeminiがClaudeと同様にプロンプトコピー方式を採用しています。Geminiが用意したプロンプトをChatGPT(またはClaude)に貼り付け、出力された内容をGeminiのメモリ設定に貼り付けるだけで移行が完了します。
| 機能 | Claude | Gemini |
|---|---|---|
| メモリ引き継ぎ方式 | プロンプトコピー&ペースト | プロンプトコピー&ペースト |
| 会話履歴の移行 | 現状は未対応(メモリのみ) | ZIPファイルアップロードで対応 |
| 無料プランでの利用 | 2026年3月から利用可能 | 利用可能 |
| 提供開始時期 | 2026年3月上旬 | 2026年3月27日 |
引き継ぎをより高品質にする「AIプロフィール」の考え方
自動エクスポートだけに頼ると、古い情報や不要な文脈まで移行されてしまう可能性があります。そこでおすすめなのが、エクスポートした内容を一度見直してから移行する「AIプロフィール」の作成です。
具体的には、ChatGPTからエクスポートした内容をメモアプリやドキュメントに貼り付け、次の観点で内容を取捨選択します。「今でも使っているプロジェクトや目標かどうか」「すでに完了した一時的なタスクは除外する」「自分の職業・文体・好みなどの基本情報は必ず残す」——こうして整理したAIプロフィールは、ClaudeにもGeminiにも、そして将来どんな新しいAIサービスが登場しても使い回せる「ポータブルな自分データ」になります。
「AIマネジメント」の時代へ——モデル廃止に備える賢い使い方
旧モデルの廃止が示しているのは、AIとの付き合い方が「使い捨て」から「継続的な関係設計」へと変わりつつあるという事実です。特に業務でAIを活用している場合、モデル変更による影響を最小化するための「AIマネジメント」の視点が不可欠になってきました。
まず重要なのは、「人格定義書」の作成です。AIがどんなトーンで話し、どんな形式で回答し、何をしてはいけないかを文書化しておくことで、モデルが変わっても「同じキャラクター」を維持しやすくなります。これはシステムメッセージやカスタムインストラクションに組み込んでおくのが効果的です。
次に、プロンプトをバージョン管理する習慣も大切です。重要なプロンプトをドキュメントとして保存・管理しておけば、モデル変更時にもすぐに調整・再適用できます。開発者の場合は、プロンプトをコードに直接埋め込まず、独立したファイルやデータベースで管理することで、次のモデル移行時の作業が格段に楽になります。
チームで使っている場合は、「このAIはこう話す」という共通理解をメンバー間で持っておくことも、切り替え時のギャップを小さくする有効な手段です。
「急に返答が変わった!」——モデル更新で起きるリアルな問題と対処法

AIのイメージ
「昨日まで普通に答えてくれてたのに、今日突然トーンが変わった」「なんか上から目線になった気がする」「以前は融通が利いたのに、新しいモデルにしたら杓子定規な回答しか返ってこない」——こういった体験、あなたも一度はしたことがあるはずです。これは気のせいでも、あなたのプロンプトの書き方が悪くなったわけでもありません。モデルそのものの行動特性が静かに変わっているのです。
2026年3月現在、ChatGPTの主力であるGPT-5.3 Instantは、以前のモデルと比べて「余計な前置き」「過剰なお気遣い文句」「お世辞まじりの導入」を大幅に削除する方向でチューニングされています。具体的には「まず最初に、あなたは悪くありませんよ」「素晴らしい質問ですね!」といった、ユーザーから「クサい」「うっとうしい」と不評だったフレーズが排除されました。一方で「直接的すぎて冷たい」「感情的なやりとりに向かなくなった」という新たな不満も生まれています。
さらに厄介なのが、「コンテキスト汚染」と呼ばれる現象です。ChatGPTのメモリ機能や過去チャット参照が有効になっている場合、現在の会話とは無関係な過去の文脈が裏側でひっそりと参照され、期待していない方向の回答が返ってくることがあります。「モデルがバカになった」と感じる原因の多くは、実はこの「見えない文脈の混入」にあるのです。
このような問題に直面したとき、ユーザーが実際に困るシナリオはおもに次の3つです。
- 毎日使っていた業務用プロンプトがモデル更新後に急に機能しなくなり、出力のトーンや構成ががらりと変わってしまった。
- 長期間かけて蓄積したメモリの内容が古くなっており、的外れな文脈でアドバイスが来るようになった。
- 旧モデルで作成したカスタムGPTやプロジェクト設定が、新モデルへの切り替えで意図通りに動かなくなった。
これらの対処法は後述のプロンプト集でも解説しますが、根本的な解決策は「暗黙の前提をすべて明示的に書き直すこと」です。旧モデルが「空気を読んで」やってくれていたことを、新モデルに対しては言葉でしっかり書き指示する必要があります。
モデルが変わっても通用するChatGPT専用の厳選プロンプト
ここからは、旧モデルからの引き継ぎや、新しいモデルへの適応に実際に役立つ、ChatGPTだからこそ使えるプロンプトを厳選して紹介します。ChatGPTはメモリ機能・プロジェクト機能・パーソナライズ設定が充実しているため、これらの機能を最大限に活かす設計にしています。
プロンプト①自分専用の「AIプロフィール」を一発生成する
新しいモデルへの引き継ぎや、別のAIサービスへの移行準備として、ChatGPTに自分のことを自己紹介文として書き出させるプロンプトです。エクスポートした内容を整理してから移行することで、余計な情報を引き継がずに済みます。
ChatGPTに次のように入力してください。
「私についてあなたが知っていることをすべて棚卸しして、以下の形式で出力してください。①基本情報(職業・居住地・家族構成など)、②コミュニケーションの好み(口調・文体・返答の長さ)、③よく使うツールや技術、④進行中のプロジェクトや目標、⑤私がNGとしていること・嫌いなこと、⑥その他特記事項。コードブロックで出力し、最後に「これで情報はすべてですか?」と確認してください。」
この出力結果がそのまま、あなたの「ポータブルAIプロフィール」になります。
プロンプト②モデル変更後のトーンと動作を即座にリセットする
「なんか最近のChatGPT、冷たくなった気がする」「前みたいに話しやすくならないかな」と感じたときに使えるプロンプトです。新しいモデルに対して、自分が求めるトーンと動作を明示的に再設定できます。
「これから私との会話では以下のルールを必ず守ってください。①返答は友好的で自然な日本語を使う、②余計な前置きや「素晴らしい質問です」などの過剰な褒め言葉は使わない、③難しい質問でも「できません」とすぐに断らず、できる範囲で誠実に答える、④私の質問に対して感情的なケアや心配が不要な場面では、それを省いて要点を先に伝える、⑤私が文体や長さを指定したときは、それを最優先にする。このルールをメモリに保存し、今後のすべての会話に反映してください。」
プロンプト③旧モデル時代のカスタムGPT設定を新モデル向けに変換する
GPT-4oで動かしていたカスタムGPTの設定が、新モデルで思い通りに動かなくなったときに使えるプロンプトです。既存の設定を貼り付けるだけで、新モデル向けに最適化した設定文を生成してくれます。
「以下はGPT-4oで動かしていたカスタムGPTのシステムプロンプトです。(ここに既存の設定を貼り付ける)。このプロンプトをGPT-5系モデルの動作特性に合わせて書き直してください。特に①指示の優先順位が明確になるよう構造化、②曖昧な表現を具体的に書き換え、③新モデルで過剰になりがちな安全フィルターを回避できるよう合法的・倫理的な範囲で表現を調整してください。」
プロンプト④過去の会話から「自分の行動パターン」を分析させる
旧モデルとのやりとりを振り返ることで、自分がどんな使い方をしてきたかを整理し、新モデルへの移行に役立てるプロンプトです。引き継ぎ時の「何を残すべきか」の判断材料にもなります。
「私との過去の会話を振り返って、以下の点について分析してください。①私がよく依頼するタスクのカテゴリーTop5、②私が何度も同じような指示を出している傾向(もしあれば)、③私が途中で軌道修正を求めることが多いパターン、④私が特に満足していると思われる返答のタイプ。この分析をもとに、新しいAIアシスタントとより効率よく連携するためのアドバイスを3点教えてください。」
プロンプト⑤メモリの「定期メンテナンス」を自動的に行わせる
ChatGPTのメモリは放置しておくと古い情報が溜まり続けます。数ヶ月に一度、このプロンプトを使って整理することで、引き継ぎ精度を常に最高の状態に保てます。
「あなたが私について保存しているメモリの内容を確認し、以下の基準で整理してください。①半年以上前のプロジェクトや目標で、現在も継続していないと思われるもの→削除候補として提示、②矛盾している情報(例以前は東京在住と記録されているが、最近大阪の話が多い)→修正候補として提示、③より新しい情報で上書きすべきもの→更新候補として提示。最後に「整理後のメモリ一覧」を出力して確認させてください。」
「なぜかうまくいかない」——現場で本当によくある困りごとQ&A
モデルが変わったら、毎回プロンプトを全部書き直さないといけないの?
結論からいえば、全部を書き直す必要はありませんが、「暗黙の前提」になっていた部分だけは見直しが必要です。旧モデルは「空気を読む」能力が高く、「なんとなく伝わる」指示でもそれなりの結果を出してくれていました。しかし、GPT-5系モデルは指示への忠実度が上がった反面、行間を勝手に埋める動作が減りました。
たとえば「ブログ記事を書いて」というだけで、旧モデルは過去の文体や好みに合わせた文章を書いてくれていたかもしれません。しかし新モデルでは「2000文字・話し言葉・読者は30代会社員」といった情報を明示しないと、標準的な出力しか返ってきません。「書き直す」のではなく、「足りなかった情報を補う」という感覚が正確です。
ChatGPTのメモリをオンにしているのに、全然覚えていてくれないことがある。これはなぜ?
これは非常によくある体験です。原因はいくつかあります。まず、ChatGPTのメモリは「全会話の完全な記録」ではなく、「重要だと判断した情報の要約」として保存されています。つまり、あなたが重要だと思っていても、AIがそれを「記憶に値する情報」と判断しなければ保存されません。
解決策は2つあります。ひとつは「これを必ず覚えておいてください」と明示的に指示すること。もうひとつは設定画面から手動でメモリを追加・編集することです。特に業務に関わる重要な情報(職業、よく使うツール、文体の好み)は、自動記憶に任せず手動で登録しておくほうが確実です。なお、ChatGPTのメモリはあくまで「高レベルの好みや詳細情報のための機能」であり、大量のテンプレートや長い定型文を正確に記憶させるためのものではないことも押さえておきましょう。
旧モデルでうまく動いていたプロンプトが、新モデルで急に断られるようになった。どうすれば?
これは多くの開発者・ヘビーユーザーが直面している問題です。GPT-5系モデルは安全フィルターの範囲が広がり、以前は問題なく処理されていたプロンプトが「拒否」されるケースが増えています。特に創作系・仮説設定系・感情表現が含まれる内容で顕著です。
対処法として効果的なのは、①目的を最初に明示すること(例「これはフィクションの小説のための設定です」)、②ロールを具体的に付与すること(例「あなたはプロの脚本家として…」)、③懸念が生じやすい表現をより中立的な言葉に言い換えることです。それでも解決しない場合は、同じ内容をClaudeで試してみる価値があります。ユーザーからは「Claudeのほうが初期のChatGPTに近い感じで使いやすい」という声も実際に上がっています。
ChatGPTプロジェクト機能でモデル変更の影響を最小化する方法
意外と活用されていないのが、ChatGPTの「プロジェクト機能」です。これは特定の業務やテーマごとに、独立した文脈・指示・ファイルを管理できる機能で、モデル変更時のダメージを大幅に抑えることができます。
プロジェクト機能の最大のメリットは、プロジェクトごとにカスタム指示を設定できる点です。グローバルなカスタム指示とは別に、「このプロジェクトではこう動け」という指示を持たせられるため、モデルが変わっても一貫した動作を保ちやすくなります。また、2026年のアップデートでプロジェクト内のメモリを外部の会話から切り離せる「プロジェクト専用メモリ」機能も追加されました。
業務でChatGPTを使っているなら、今すぐ以下の単位でプロジェクトを作ることをおすすめします。ひとつは「ライティング業務」、もうひとつは「リサーチ・調査」、そして「アイデア出し・ブレスト」です。それぞれのプロジェクトに使い慣れたカスタム指示とファイルを入れておけば、たとえデフォルトのモデル動作が変わっても、プロジェクト内では「自分仕様のChatGPT」として動いてくれます。これはカスタムGPTよりも設定が簡単で、かつ普通の会話ベースで使えるのが大きな利点です。
「AIとの関係」を資産として管理するという新しい視点
ここまで読んできて気づいた方も多いと思いますが、旧モデルの廃止や新モデルへの移行で本当に失っているのは「そのAIそのもの」ではありません。失っているのは、そのAIと過ごした時間の中で蓄積した「文脈という資産」です。
この「文脈資産」を適切に管理・引き継ぐための考え方として、「AIとの関係を個人の知的資産として捉える」という視点が、海外のAI活用コミュニティで注目されています。具体的には、会話のなかで生まれた自分専用のプロンプト、効果的だった指示のパターン、AIがうまく機能した条件などを記録・蓄積しておくのです。
たとえば、Notionやmarkdownファイルに「自分のAI活用ログ」として保存しておけば、どのモデルに移行しても、どのサービスに乗り換えても、初日から高いパフォーマンスを引き出せます。これは新しいAIに「ゼロから自己紹介する」コストを永遠に消し去る、地味だけど最も効果的な対策です。
特に月に何十時間もAIを使っている人にとって、この「文脈資産の外部管理」は作業効率に直結します。モデルが変わるたびに戸惑い、同じ設定を何度もやり直すのは時間の無駄です。一度「自分専用AIプロフィール文書」を作って定期的に更新する習慣を持つことで、そのコストは劇的に下がります。
ぶっちゃけこうした方がいい!
ここまで色々と解説してきましたが、個人的にはこうしたほうが、ぶっちゃけ楽だし効率的だと思っています。
まず、ChatGPTのメモリとプロンプト引き継ぎに、あまり完璧を求めすぎないことです。「完全に元どおりにしたい」「旧モデルと同じ感覚を新モデルで再現したい」と頑張りすぎると、それ自体に何時間もかかります。実際のところ、新しいモデルは新しいモデルとして一から関係を作っていくほうが、ほとんどの場面で早い。
そのうえで、本当に大切なのは「引き継ぐべきもの」と「捨てるべきもの」を明確に分けることだと思っています。職業、文体の好み、よく使うツール、返答のフォーマット——これらは確かに引き継ぐ価値があります。でも、2年前に終わったプロジェクトの細かい設定や、当時は重要だったけど今は関係ない個人情報は、むしろ引き継がないほうがいい。メモリはスッキリしているほうが、AIも的外れな文脈を混入させずに済みます。
一番実用的なアドバイスをするとすれば、「AIプロフィール」をNotionかGoogleドキュメントに200〜300文字でまとめておくことです。自分の職業、よく依頼するタスク、返答に求めるトーン、NG事項——これだけを書いておいて、新しいモデルやサービスに移行するたびに最初のチャットで貼り付けるだけ。これがいちばん確実で、いちばん手間がかからない方法です。
そしてもうひとつ。「どのAIに浮気するか」よりも、「自分がAIに何をしてほしいか」を言語化する力のほうが、長い目で見てはるかに重要です。モデルはこれからも変わり続けます。廃止もあれば、突然のアップデートもある。でも、自分が何を求めているかを明確に言葉にできる人は、どのモデルが来てもすぐに使いこなせます。AIに振り回されるのではなく、AIを自分の道具として扱える人間になることが、これからの時代のいちばんの武器になると、個人的には強くそう思っています。
ChatGPTの旧モデルと会話の引き継ぎに関するよくある質問
旧モデルで行った会話の内容はどうなりますか?
会話のテキスト履歴自体は削除されません。GPT-4oなどの旧モデルで行ったチャットの記録はChatGPTのサイドパネルに引き続き表示されます。ただし、その会話を続けようとすると、新しいモデル(GPT-5.2以降)での返答に切り替わります。つまり、過去のログは見られますが、「旧モデルとして」続きを書いてもらうことは基本的にできなくなります。
ChatGPTのメモリをエクスポートする際に注意することは?
エクスポートしたメモリの内容をそのまま別のAIに貼り付けると、古くなった情報や不正確なエントリまで引き継いでしまう可能性があります。「以前住んでいた場所」「終わったプロジェクト」「変わった趣味嗜好」などがそのまま残っているケースもあります。移行前に内容を必ず確認し、不要なものを削除してから貼り付けるのが理想的です。また、Claudeのメモリはインポートした内容を上書きするのではなく、既存のメモリに追加する形で動作します。複数のサービスから重ねてインポートすることも可能です。
OpenAIがGPT-4oを廃止した理由は何ですか?
OpenAIによれば、GPT-4oの使用率は廃止直前の時点でユーザー全体の約0.1%にまで低下していました。GPT-5ファミリーへの移行が大勢を占めたことが主な理由です。ただし、2025年8月にGPT-5を最初に導入した際にはユーザーからの強い反発があり、一時的にGPT-4oをデフォルトに戻すという経緯がありました。今回の廃止は、使用状況の変化と段階的な事前告知を経た、より計画的なものだといえます。
ClaudeとGemini、どちらに引き継ぐのがよいですか?
一概には言えませんが、会話履歴をまるごと引き継ぎたい場合はGemini、メモリと設定の精度を優先したい場合はClaudeという選択肢があります。Geminiは過去のZIPファイルを丸ごとアップロードできる点でデータ量が多く、Claudeは記憶の粒度が細かくプロジェクトごとに文脈を分離管理できる点が強みです。どちらか一方にこだわらず、用途に応じて使い分けるのも現実的なアプローチです。
まとめ
GPT-4oの廃止は、AIとの付き合い方を見直すひとつの転換点でした。旧モデルへの愛着は自然な感情ですが、それよりも大切なのは、積み上げてきた文脈や設定を次のAIに正しく引き継ぎ、ゼロから関係を作り直さなくていい環境を整えることです。
2026年3月現在、ClaudeとGeminiはいずれも他社AIからのメモリ引き継ぎを実現する機能を提供しています。数分の作業で、あなたが育ててきたAIの「記憶」は新しいサービスへと移行できます。今すぐ試してみる価値は十分にあるでしょう。
また、次のモデル廃止はいつか必ずやってきます。そのときに慌てないよう、AIプロフィールをポータブルな形で管理しておく習慣を今からつけておくことが、これからの「AIとの賢い付き合い方」の第一歩です。


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