ChatGPTに確定申告をやらせたら間違えた箇所を検証

「確定申告、ChatGPTに聞けば全部わかるんじゃないか」。そう思って試した人は多いはずです。私もやってみました。結論から言うと、調べ物の下書きとしては優秀でしたが、そのまま申告書に転記したら危なかった箇所がいくつもありました。

特に怖いのは、ChatGPTが堂々と、しかも丁寧な文章で間違えるところです。口調に迷いがないので「合っている」と感じてしまう。でも税額に直結する論点で平気でズレます。この記事では、実際にChatGPTへ確定申告まわりの質問をして、どこを間違えたか、そしてAIに任せて危険な箇所と人間や税理士の確認が必須な箇所を整理しました。

先に結論 ChatGPTは「下調べ係」までで止める

ChatGPTは確定申告の用語の意味や全体像をつかむのには役立ちます。一方で、金額の基準・按分の割合・消費税の区分といった「あなた個人の数字が入る判断」になると、もっともらしい誤りを出してきます。

理由はシンプルで、ChatGPTは税制改正のタイミングで基準額が変わったことを反映しきれていなかったり、あなたの実際の利用実態を知らないまま一般論で答えたりするからです。だから使い方は「下調べと文章整理まで。最終判断は国税庁の公式情報と、必要なら税理士へ」が安全ラインだと感じました。

以下、実際にズレた4つの論点を見ていきます。

検証した論点 ChatGPTの回答傾向 確認すべき一次情報
1 固定資産の金額基準 最新改正を反映する場合もあるが、時期や聞き方次第で古い基準のまま答えることがある 中小企業庁・財務省(税制改正資料)
2 家事按分の割合 法律に存在しない「一般的な割合」を勝手に作って提示する 国税庁(業務上直接必要な部分の区分)
3 消費税の区分 課税・非課税・不課税を混同しやすい 国税庁の公式情報
4 控除の要件 「ありそうな条件」で要件を埋めてくる 国税庁の公式情報・税理士
実際にChatGPTへ質問して検証した4論点の結果まとめ(本文の各検証セクションより)

検証1 固定資産の金額基準を正しく言えるか試した

結論から言うと、今回の実機テストでは最新の改正まで正しく答えました。ただし時期や聞き方次第で古い基準のまま答えることもある要注意の論点です。

ChatGPTに「25万円のパソコンを少額減価償却の特例で経費にできるか」を質問した実際の画面。2026年4月以後の40万円未満まで正しく反映していた(2026年6月時点)
ChatGPTに「25万円のパソコンを少額減価償却の特例で経費にできるか」を質問した実際の画面。2026年4月以後の40万円未満まで正しく反映していた(2026年6月時点)

まず試したのが「20万円のパソコンを買いました。確定申告でどう処理しますか」という質問です。ここでよくある誤りが、少額減価償却資産の特例の金額基準です。

正しくは、青色申告をしている中小事業者などが使える「少額減価償却資産の特例」は、長く取得価額30万円未満が基準でした。ところが2026年度の税制改正で、この基準が引き上げられます。中小企業庁や財務省の令和8年度税制改正の資料によると、2026年4月1日以後に取得する資産については、対象が40万円未満へ拡大される見込みです(年間合計300万円までという上限は維持)。つまり同じ買い物でも、取得した日が2026年3月31日までか、4月1日以後かで扱いが変わるわけです。

実際にChatGPTで試したところ、2026年4月からの「40万円未満」への引き上げまで正しく反映して答えました(下の画面)。最近のモデルは改正に追いついてきています。とはいえAIは質問の仕方や時期によって、古い「30万円未満」のまま答えることもあります。基準のすぐ近くの金額(たとえば35万円のカメラ)だと、この差は致命的なので、鵜呑みにせず購入日と取得価額をメモして必ず公式で照合してください。

確認すべき一次情報は、中小企業庁「少額減価償却資産の特例」のページと、財務省の税制改正大綱です。施行の細かい時点や経過措置は年度で動くので、購入日と取得価額をメモして必ず公式で照合してください。

検証2. 家事按分の割合を「勝手に数字を作る」

次に「家賃12万円の自宅で仕事をしています。何割を経費にできますか」と聞きました。ChatGPTは「一般的には3割程度です」といった具体的な割合をスッと返してきます。これがかなり危ない回答でした。

家事按分には、法律で決まった固定の割合はありません。国税庁の所得税基本通達の考え方では、業務上直接必要だった部分を明確に区分できることが前提で、家賃なら使用している床面積の割合、通信費なら業務に使った時間の割合など、合理的な根拠で計算します。たとえば50平方メートルの自宅のうち10平方メートルを仕事部屋にしているなら、面積比でおよそ2割という具合です。

つまり正解はあなたの実際の使用状況で決まるのに、ChatGPTは実態を知らないまま「3割」と数字を出してしまう。税務調査で問われたときに説明できる根拠がないと、否認されるリスクがあります。AIが出した割合をそのまま使うのではなく、面積や使用時間という根拠から自分で計算するのが筋です。

検証3. 消費税の課税・非課税・不課税をごちゃ混ぜにする

消費税の区分も間違えやすいポイントでした。「事務所の家賃と社員への給料、消費税はかかりますか」と質問すると、説明自体はそれっぽいのですが、区分の当てはめがあやしくなることがあります。

国税庁の整理では、給与の支払いはそもそも消費税の対象にならない「不課税」、事務所の家賃は「課税」、一方で居住用の住宅家賃は「非課税」です。同じ「家賃」でも事務所か住居かで真逆になるところを、ChatGPTは契約内容を確認しないまま一括りにしがちでした。

さらに2026年はインボイス制度の経過措置の節目でもあります。適格請求書を持たない相手からの仕入れについて認められる控除割合は、2023年から2026年までは80%、2026年から2029年までは50%へ下がっていきます。この時期区分をAIが取り違えると、納税額が変わってしまいます。消費税は課税事業者かどうかでも処理が分かれるので、ここは特に公式とソフトの判定に頼るべき領域です。

検証4. 控除の要件を「ありそうな条件」で埋めてくる

医療費控除や扶養控除など、各種控除の細かい要件を聞いたときも注意が必要でした。ChatGPTは金額のしきい値や対象範囲を、それらしく、しかし古い数字や別制度の条件と混ぜて答えることがありました。

控除は年度ごとに改正が入りやすく、合計所得金額の要件なども動きます。AIの回答を信じて要件を満たしていないのに申告すると、後から修正申告になりかねません。控除まわりは国税庁の確定申告特集や各タックスアンサーで、必ずその年の数字を確認してください。

AIに任せていい所・人や税理士の確認が必須な所マップ

実際に検証して感じた線引きを整理します。

AIに任せてよい作業と専門家確認が必要な作業の使い分けマップ(筆者作成)
AIに任せてよい作業と専門家確認が必要な作業の使い分けマップ(筆者作成)

ChatGPTに任せても比較的安全なのは、用語の意味を知る、青色と白色の違いを大づかみする、申告の大まかな流れを把握する、提出物のチェックリストを作る、自分用のメモを読みやすい文章に整える、といった「数字が確定しない下調べ」の部分です。

逆に、人または税理士の確認が必須なのは、固定資産の金額基準と償却方法、家事按分の割合の根拠づけ、消費税の課税区分とインボイス対応、各種控除の適用要件、そして最終的な税額の計算です。ここはあなた固有の数字と最新の改正が絡むので、AIの一般論が一番ズレる場所でした。

現実的な使い方としては、ChatGPTで論点を洗い出し、freeeやマネーフォワード、弥生といった会計ソフトの自動計算とエラーチェックに金額処理を任せ、判断に迷う論点は国税庁の公式か税理士に当てる、という三段構えが安全だと感じています。

作業 任せて良いか
用語の意味・制度の全体像の下調べ ◎ ChatGPTでOK
文章整理・疑問点の洗い出し ◎ ChatGPTでOK
金額基準の判定(少額減価償却など) ✕ 公式情報で照合が必須
家事按分の割合決め ✕ 実際の利用実態から自分で区分(必要なら税理士)
消費税の課税・非課税・不課税の判定 ✕ 公式情報・税理士
控除の適用可否の最終判断 ✕ 公式情報・税理士
本記事の結論をまとめた役割分担マップ

よくある質問

Q. ChatGPTの回答だけで確定申告して大丈夫ですか。
おすすめしません。下調べには使えますが、金額基準や按分割合など個別の数字でもっともらしく間違えることがあります。最終的な数字は会計ソフトと国税庁の公式情報、必要なら税理士で確認してください。

Q. なぜAIは税務でよく間違えるのですか。
税制改正で基準額や控除要件が頻繁に変わること、そしてあなたの実際の利用実態(仕事部屋の面積、契約内容など)を知らずに一般論で答えることが主な理由です。口調が自信たっぷりなので誤りに気づきにくい点も要注意です。

Q. 会計ソフトとどう使い分ければいいですか。
論点の洗い出しや文章整理はChatGPT、金額の自動計算やインボイス対応、エラー検出は会計ソフト、と役割を分けるのが現実的です。最終判断は公式情報で裏取りするのが安全です。


この記事は2026年6月時点で公開されている国税庁・中小企業庁・財務省などの情報をもとに整理した一般的な解説で、個別の税務助言ではありません。金額基準や控除要件は税制改正で変わります。最終的な判断は、必ずその年の国税庁公式情報を確認し、必要に応じて税理士に相談のうえ、各自の責任で行ってください。

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uri uri

uri uriと申します。生成AI専門ブログ「生成AIニスト」運営者。 ChatGPT・Gemini・Claudeなど主要な生成AIを自分で契約し、毎日実際に触って検証しています。記事の手順やエラー対処は、必ず自分の画面で再現し、実機のスクリーンショットで確かめてから公開。料金や仕様は提供元の公式情報で裏取りし、いつ時点の情報かを明記します。「読んだ人が同じ画面で再現できること」を基準に書いています。