AIで何か作ってみたい。でも「ChatGPTのAPIとClaudeのAPI、結局どっちに登録すればいいの」「キーの作り方が分からない」「うっかり高額請求が来たら怖い」——ここで止まっている人は本当に多いです。私も最初はそうでした。
OpenRouterは、その入口の悩みをまとめて軽くしてくれるサービスです。OpenAI、Anthropic(Claude)、Google(Gemini)、Meta(Llama)などの300以上のモデルを、ひとつの登録・ひとつのAPIキー・ひとつの書き方で呼び出せます。モデルを変えたくなっても、コードの中の「model」という1文字列を差し替えるだけ。
この記事では、アカウント登録 → APIキー発行 → 最初のリクエスト成功、までを2026年6月時点の最新画面に合わせて順番に説明します。料金で損しないための上限設定や、初心者が必ずハマる認証エラーの直し方も入れました。
結論:最短ルートはこの5ステップ
先に全体像です。難しいことはありません。
- メールまたはGoogle/GitHubアカウントで無料登録(クレジットカード不要)
- 無料モデル(モデル名が
:freeで終わるもの)を選んでチャット画面で動作確認 - 「Keys」画面でAPIキーを1本だけ発行(
sk-or-v1-で始まる文字列) - キーを安全な場所にコピー(作成直後しか全文が見えません)
- 短いコードで
https://openrouter.ai/api/v1/chat/completionsに1回送って返事をもらう
ここまでで、もうあなたは「OpenRouterを読んで知っている人」ではなく「実際に呼び出した人」です。では1つずついきます。
ステップ1:アカウント登録(無料・カード不要)
OpenRouterの公式サイト(openrouter.ai)を開いて、右上の「Sign in」から登録します。方法は3つあって、
- Googleアカウントでワンクリック
- GitHubアカウントでワンクリック
- メールアドレス+パスワード
私はGoogleで入りました。これが一番早いです。この時点でクレジットカードの入力は求められません。お金の話は、有料モデルを使いたくなったとき初めて出てくるので、いまは安心して進めて大丈夫です。
ログインできたら、まず画面の上のほうにある残高表示を見てください。多くの場合、お試し用に少額のクレジットが入っていますが、これは時期やアカウントによって変わります。「入っていなくても無料モデルは使える」ので、残高ゼロでも気にせず次へ進んでください。
ステップ2:チャット画面で無料モデルを試す(コードの前に)
いきなりコードを書きたくなりますが、ぐっとこらえて、先に画面上のチャットで動かします。理由はシンプルで、あとでエラーが出たときに「アカウントは正常」と切り分けできるからです。ここを飛ばすと、コードが悪いのか登録が悪いのか分からなくなって、初心者は必ず迷子になります。
「Chat」画面を開き、モデル選択欄で末尾が :free のモデルを選びます。2026年6月時点では、DeepSeek、Llama、Qwen、Gemma、Gemini Flash 系など、20種類以上の無料モデルが用意されています。どれでも構いません。
選んだら、短く打ちます。
「日本語で、自己紹介を1行だけ書いてください。」
これで返事が返ってきたら、登録は完璧です。最初から長い質問を投げないのがコツで、無料モデルは混雑時に返事が20〜30秒遅れることがあります。これは故障ではなく、順番待ちです。短い質問なら待ち時間も短いので、まずは「届くこと」だけ確認します。
無料モデルには1日の回数制限がある
ここは料金とも関わる大事な話なので、先に書いておきます。:free モデルには制限があって、1分あたり20回まで、そして1日あたりの上限があります。2026年6月時点の公式の仕組みでは、
- クレジットを一度も(または$10未満しか)購入していないと、無料モデルは1日およそ50回まで
- 累計$10以上のクレジットを一度でも購入すると、その上限が1日およそ1000回に恒久的に上がる
という二段構えです。注意点として、失敗したリクエストも回数を消費します。テストでエラーを連発すると、それだけで1日の枠を食います。最新の正確な数値は公式の「API Rate Limits」ページで時点を確認してください(数値は変更されることがあります)。
ステップ3:APIキーを発行する
動作確認ができたら、いよいよコードから呼ぶための鍵を作ります。画面左のメニューから「Keys」(または「API Keys」)を開き、「Create Key」を押します。
名前を聞かれるので、最初は test で十分です。本番用・開発用と細かく分けるのは、2つ目のツールを作る段階で大丈夫。最初から5本も作ると、どれを使っているか分からなくなります。
作成すると、sk-or-v1- で始まる長い文字列が表示されます。これが全文で見えるのは、この一度きりです。
表示されたら、その場でコピーして安全な場所に保存します。やってはいけないのは、共有チャットに貼る・公開リポジトリに置く・スクショを人に見せる・誰でも見られる社内メモに書く、です。キーは家の鍵と同じで、合鍵を握られると勝手に使われます。
もし「全文を保存し忘れた」「うっかり貼ってしまった」ときは、慌てずにそのキーを無効化(Disable / Delete)して、新しいキーを作り直します。再発行はワンクリックなので、迷ったら作り直すのが一番安全です。
ステップ4:最初のリクエストを送る
ここが本番です。一番シンプルなのは、ターミナルから直接叩く方法です。Macやお使いの環境のターミナルに、次を貼ります(あなたのキー の部分を置き換えてください)。
bash
curl https://openrouter.ai/api/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer あなたのキー" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "deepseek/deepseek-chat:free",
"messages": [{"role": "user", "content": "日本語で1文だけ返してください"}]
}'
返事のJSONが表示されたら成功です。model の値を別の :free モデルに変えるだけで、同じコードのまま違うAIに切り替わります。これがOpenRouterの一番おいしいところです。
Pythonで書きたい人は、普段のOpenAIライブラリがそのまま使えます。接続先(base_url)を差し替えるだけです。
“`python
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
base_url=”https://openrouter.ai/api/v1″,
api_key=”あなたのキー”, # 本番では環境変数から読む
)
res = client.chat.completions.create(
model=”deepseek/deepseek-chat:free”,
messages=[{“role”: “user”, “content”: “日本語で1文だけ返してください”}],
)
print(res.choices[0].message.content)
“`
2026年はOpenRouter公式のライブラリ(Pythonの openrouter、TypeScriptの @openrouter/sdk)も用意されていますが、初心者はまず慣れたOpenAI SDKの差し替えで動かすのが一番つまずきません。動いてから乗り換えれば十分です。
実務では、キーをコードに直書きせず、.env ファイルに OPENROUTER_API_KEY=... と書いて環境変数から読み込みます。.env は必ず .gitignore に入れて、GitHubに上げないようにしてください。
つまずきポイントと一発解決
ここを先に読んでおくと、9割の人がハマる罠を回避できます。
401 / Unauthorized(認証エラー)
キーは作れたのに「401」「No auth credentials」と出る。原因はほぼ3つです。
Bearerを書き忘れている(Bearerの後ろに半角スペース1つ+キー、が正解)- コピーしたキーの前後に余計な空白や改行が混ざっている(一度メモ帳に貼って確認)
- 環境変数に入れたのに、コード側で読み込めていない(変数名のスペルを揃える)
認証エラーのときにモデルを変えても直りません。鍵そのものを見直すのが先です。
404 / Model not found(モデル名エラー)
画面の表示名と、APIで指定する正式名は違うことがあります。OpenRouterでは provider/model:tag の形(例:deepseek/deepseek-chat:free)です。手打ちで頑張らず、そのモデルのページに載っているAPI用の名前をコピペしてください。スラッシュや大文字小文字の1文字違いで弾かれます。
402 / 残高・上限エラー
無料モデルの1日の回数を使い切った、または有料モデルなのに残高が足りない、というサインです。コードをいじっても直りません。Activity画面で使用量を確認し、必要なら少額だけクレジットを足します。
料金で損しないための考え方
OpenRouterは使った分だけの従量課金で、月額固定費はありません。モデルごとに「入力トークン単価・出力トークン単価」が表示されていて、長い入力・長い回答・繰り返しが多いほど料金が増えます。トークンは文章を細かく区切った単位で、日本語の文字数とは完全には一致しません。
有料モデルを使うときの注意を、誠実に2つ。
ひとつは手数料です。クレジットを購入する際に約5.5%(最低$0.80前後)の手数料がかかります。少額だと手数料の比率が相対的に高くなる点は知っておいて損はありません。
もうひとつは有効期限です。よく「OpenRouterのクレジットは無期限」と書かれているのを見かけますが、これは正確ではありません。公式FAQには「購入から1年で未使用クレジットを失効させる場合がある」と明記されています(2026年6月時点)。少額をこまめに、が現実的です。
料金を抑える一番簡単な方法は、接続確認は無料・軽いモデルで済ませること。分類や短い要約なら軽いモデルで十分なことが多く、長文の読み込みや複雑なコード修正のときだけ高性能モデルを使えば、無駄が出ません。そして毎回、実行後にActivity画面を1分だけ見る。これだけで「どの操作がいくら使ったか」が体感で分かるようになります。
よくある質問
プログラミング初心者でも使えますか?
使えます。最初はコードを書かずにChat画面で試し、慣れたら各モデルページに載っているAPIサンプルをコピペするだけです。PythonかJavaScriptのどちらか1つに絞って始めると、エラーを調べるときも情報が見つけやすくなります。
無料モデルだけでずっと使えますか?
学習や個人の試作なら無料モデル(:free)だけでも始められます。ただし1分20回・1日数十回程度の制限があり、混雑時は遅くなります。毎日安定して使うツールや、人が使うアプリにするなら、少額のクレジットを入れて上限を上げるのが現実的です。
ChatGPTやClaudeに直接登録するのと何が違いますか?
直接契約は、その会社のモデルを深く使いたいときや、各社固有の最新機能をいち早く使いたいときに向きます。OpenRouterは、複数社のモデルを同じ書き方で試したい・モデルを切り替えたい・支払いを1つにまとめたいときに便利です。まず色々試して比べたい初心者には、入口としてOpenRouterが楽です。