SNSで美しいAIアートを見かけたとき、あなたは「すごい」と感じる一方で、どこか違和感を覚えたことはありませんか?特にファッションブランドやアーティストがMidjourneyなどの生成AIツールを使用したとき、予想外の批判や炎上が起きています。2026年2月現在、AI生成アートをめぐる議論は過去最高に激化しており、ディズニーとユニバーサルスタジオがMidjourneyを訴えるという前代未聞の事態にまで発展しました。
- Midjourneyを使ったファッションデザインが炎上する本質的な理由と、クリエイターと消費者の間にある深い溝
- 2026年最新の著作権訴訟の動向と、ディズニー・ユニバーサルによる歴史的訴訟がもたらす影響
- EC事業者や個人クリエイターが生成AI画像を安全に活用するための具体的な対策方法
Midjourneyで生成したAIアートはなぜ炎上するのか?

画像生成AIのイメージ
Midjourneyは2022年のローンチ以来、2100万人以上のユーザーを獲得し、毎日120万から250万枚もの画像を生成する最も人気の高いAI画像生成ツールです。しかし、その人気とは裏腹に、Midjourneyを使用したアートやデザインが公開されるたびに、激しい批判や炎上が起きています。
2024年1月、ロサンゼルスを拠点とするファッションブランドSelkieがバレンタインデーコレクションにMidjourneyで生成した子犬や子猫のプリントを使用したところ、InstagramやTikTokで大炎上しました。通常数十件程度のコメントしかつかないSelkieの投稿に、750件以上の批判コメントが殺到。「フォローを外した。デジタルペインティングや才能あるアーティストがたくさんいるのに、AIは必要ない。もうSelkieの商品は買わない」といったコメントには400件以上の「いいね」がつきました。
Selkieの創業者キンバリー・ゴードンは、自身がアーティストであり、ブランド唯一のインハウスデザイナーであると反論しました。ドレスの価格は249ドルから1500ドルと高額ですが、これは素材費と労働コストを反映したものであり、AI使用はコスト削減のためではなく創作の効率化のためだと説明しました。しかし、批判は収まらず、最終的にゴードンは今後のSelkieコレクションではAI生成画像を使用しないと約束せざるを得ませんでした。
興味深いのは、同じ2024年2月にイタリアの高級ファッションブランドEtroが生成AIで作成した広告キャンペーンを発表したとき、ほとんど批判を受けなかったことです。この選択的な反発は、消費者がブランドに期待する価値観と深く関係しています。Selkieは「想像力に基づくブランド」として「芸術的な自己表現を奨励する」と謳い、サイズインクルーシブで倫理的な製造を重視していました。まさにそのブランド価値が、AI使用によって裏切られたと消費者が感じたのです。
炎上の背景にある3つの根本的な理由
なぜMidjourneyで作られたアートは、これほどまでに激しい批判を受けるのでしょうか?日本のNewsPicksに掲載された議論でも指摘されているように、批判のポイントは複数のレイヤーに分かれています。
AIが生み出す「偽物」への不快感と創造性の本質
最も根本的な問題は、創造性は人間固有の能力であり、人の尊厳を損なってはならないという価値観です。アートやデザインに生成AIを利用すると、「AIという偽物」に対する不快感が生まれます。ピカソの「ゲルニカ」を見るとき、私たちは単に歪んだ人物像を見ているのではなく、1937年のバスク地方の町の爆撃に対する彼の生々しい反応を体験しています。
ボーリング・グリーン州立大学の2023年の研究では、参加者が絵画を見たとき、人間が作った芸術は自己反省、感情移入、驚き、楽しさの4つの感情カテゴリーにおいて、AI生成アートよりも有意に高いスコアを示しました。このギャップは大きくはありませんが、数百人の参加者にわたって一貫していました。私たちの脳は、たとえ言葉で説明できなくても、本物の人間の経験が込められた芸術に対して異なる反応を示すのです。
AI生成ツールは戦争シーンの技術的に印象的な画像を作成できます。構図や照明、表現主義的なスタイルさえも完璧に仕上げられます。しかし、AIには生きた経験を埋め込むことはできません。AIは戦争がどんな音かを知らず、世代を超えたトラウマを抱えておらず、暴力によって誰かを失ったこともありません。
著作権侵害のリスクと学習データの問題
Midjourneyは既存の膨大な画像を学習しているため、アウトプットが既存作品に酷似してしまうことがあります。2025年10月にサンフランシスコのコンテンツ制作プラットフォームKapwingが約500万件のMidjourneyプロンプトを分析した報告によると、最もプロンプトされたアーティストはアルフォンス・ミュシャでした。レンブラントが2位で、ミュシャはレオナルド・ダ・ヴィンチやノーマン・ロックウェル、グスタフ・クリムトの約4倍のプロンプトを受けていました。
さらに衝撃的なのは、フランチャイズのランキングです。最もプロンプトされたのはスター・ウォーズで、現在ディズニーとユニバーサルスタジオがMidjourneyを著作権侵害で訴えています。2位はバットマン(ワーナー・ブラザースも訴訟中)、続いてタイタニック、ロード・オブ・ザ・リング、ポケモン、マトリックス、スーパーマン、ハリー・ポッター、マリオ、ウォークラフトがトップ10に入りました。
2023年1月には、サラ・アンダーセン、ケリー・マッカーナン、カーラ・オルティスの3人のアーティストが、Stability AI、Midjourney、DeviantArtに対して著作権侵害訴訟を起こしました。訴状では、これらの企業が50億枚以上の画像でAIツールをトレーニングすることで、何百万人ものアーティストの権利を侵害していると主張しています。
2023年11月には、4700人以上のアーティストのリストが訴訟で明らかになり、ノーマン・ロックウェルやウェス・アンダーソンなど著名な人物も含まれていました。アーティストのジョン・ラムがソーシャルメディアでこのリストを共有したことで議論が加速し、AI生成アート分野における規制の欠如に対する懸念が高まりました。
クリエイターの仕事を奪うという恐怖
将来的にAIが人の仕事を奪うという不安は、批判の根底にある最も強力な感情的動機です。ゲーム開発者ハビ・ロペスは、GPT-4、DALL-E 3、Midjourneyを使用して「Angry Pumpkins」というゲームをわずか12時間で作成しました。通常、人間のデザイナーがゲームの外観と雰囲気に合う画像を開発するには数日かかるところを、AIツールはコードとアートワークの両方を数秒で生成できます。
2026年2月14日に放映されたNBCのレポートでは、ファッション業界におけるAIの採用がモデルや顧客の間で反発を引き起こしていると報じられました。2023年にリーバイスがウェブサイトにAI生成モデルを使用するパイロットプログラムを発表したとき、激しい批判を受けて展開を停止せざるを得ませんでした。
しかし、Fashion Law Instituteのディレクター、スーザン・スカフィディ教授は指摘します。「ブランドが高い倫理基準を持っていると自己特徴づけている場合、消費者や批評家は、そのブランドがAI使用について特に慎重であるべきだと考えます。」この期待と現実のギャップが、炎上を引き起こすのです。
2026年最新の法的状況とディズニー訴訟の衝撃
2025年6月、ディズニーとユニバーサルスタジオは、Midjourneyに対して陪審員裁判を求める訴訟を起こしました。これは主要なハリウッド スタジオからAI企業に対する初めての訴訟であり、生成AIの進化を形作る可能性があります。
訴状では、Midjourneyが「無数の」著作権で保護された作品を無断で使用し、ユーザーが「ディズニーとユニバーサルの有名なキャラクターを明白に組み込んでコピーする」画像を作成できるようにしていると主張しています。訴状はMidjourneyを「典型的な著作権フリーライダーであり、盗作の底なし井戸」と表現しています。
ユニバーサルの法務責任者キム・ハリスは、「私たちを楽しませ、インスピレーションを与えてくれるすべてのアーティストの努力と、私たちがコンテンツに行う多大な投資を守るため」に訴訟を起こしたと述べました。
著作権保護の現状と判例
米国著作権局は一貫した立場を取っています。AI生成アートは人間の著作性を欠くため著作権保護の対象にならないというものです。いくつかのテストケースがこれを確認しています。
2022年にコロラド州フェアのデジタルアート部門で優勝した「Théâtre D’opéra Spatial」というMidjourney生成画像を制作したジェイソン・アレンは、著作権登録を試みましたが、著作権局は拒否しました。アレンはプロンプトエンジニアリングと選択プロセスが著作権を構成すると主張して現在訴訟中ですが、2024年後半時点で裁判所は彼の味方をしていません。
2025年3月、DC巡回裁判所はスティーブン・セイラーの上訴を却下し、人間の著作性を「基盤となる要件」と説明しました。同年11月、ゲッティイメージズ対Stability AIの判決では、Stabilityが著作権に関しては勝訴しましたが、商標に関しては限定的な認定がありました。
日本における著作権の扱い
日本国内においても同様に、AIのみで自動的に生成された画像については著作権が認められにくく、人間による編集や加工が加わった場合にのみ、著作物性が生じ得ると解釈されています。
基本的には「人間の創作性がどの程度関与したか」が判断基準とされ、AIの提示した結果から、利用者が主導して加工したような場合には、一定の創作性が認められる可能性があります。一方、AIが自動生成した結果をそのまま使用するような場合では、著作権が成立しないと解釈されるケースも見られます。
AIの学習に使用されたデータに既存の著作物が含まれる場合、出力結果がそれに酷似すれば「二次的著作物」や「著作権侵害」と判断されるリスクがあります。特にブランドロゴや有名キャラクターなどを想起させる画像は、企業や権利者から法的措置を受ける可能性もあるため、注意が必要です。
ファッション業界における2026年のAI利用実態
Business of Fashionの2024年の調査によると、業界幹部の73%が生成AIを今年の事業の優先事項と回答しました。しかし、消費者の受容度は企業の期待とは大きく異なります。
マーケティングエージェンシーDentsuの2025年の調査では、81%のマーケティング責任者が、顧客は人間が作成したコンテンツにより多く支払うと信じていると回答しました。これは2024年の65%から上昇しています。
2026年初頭の最新トレンド:アナログ回帰
2026年1月5日にOculaが報じたように、2025年9月と10月の2026年春夏コレクションでは、前例のない15人のデザイナーが初のコレクションを発表し、「ファッションの大リセット」と呼ばれました。シャネル、ディオール、バレンシアガ、セリーヌ、グッチ、ボッテガ・ヴェネタなどのレガシーハウスが含まれます。
興味深いことに、これらのランウェイではAIに対する抵抗として、アナログと工芸ベースのアート、絵画や彫刻に焦点を当てたリフレッシュな対応が見られました。
Loeweでは、ジョナサン・アンダーソンの後任として新クリエイティブディレクターに就任したジャック・マッコロウとラザロ・ヘルナンデスが、「明快さ、色、官能的な身体性のレンズを通して見たコレクション」を発表しました。これには「手吹きガラスで作られたクラッチバッグ、折り紙のような折り目で構築された靴、スプレーペイント技法で仕上げられたパネル付きレザードレス」が含まれていました。
2026年1月のStrand Magazineの分析では、ヨーロッパのスタイル予測として、フルーガルシック、スローファッション、そして個性の波が挙げられています。Naïveデザインのようなトレンドが注目を集めており、これは子供のような素朴な方法で描かれたアイテムを特徴としています。Acne Studiosのクリスマスキャンペーンでも見られたこのグラフィックトレンドは、エアブラッシングとAIの時代において、ほとんど急進的に感じられます。不完全さと個性の美しさが持続しているのです。
「クラッターコア」と反AI美学
2026年1月16日のBusiness of Fashionの報告によると、Instagramの責任者アダム・モセリは今月初めの投稿で、「撮影メディアと区別がつかない」偽のクリエイターコンテンツが2026年のプラットフォームにとって「主要なリスク」になると述べました。「賢いクリエイターは、加工されていない、お世辞にも映えない画像に傾いている」と指摘しています。
美容インフルエンサーやブランドは、洗練された美学から、乱雑に散らかったシンクや「空っぽ」の画像へと移行しています。これは実際の使用、親近感、真正性を示すものです。消費者は、過度にキュレーションされた投稿や「過剰消費」だけでなく、AI生成のビジュアルにも疲労を示しています。不完全なビジュアルは人間性の証明と見なされているのです。
EC事業者が生成AI画像を安全に活用する方法
リスクを回避しつつAI画像を活用するためには、一定のガイドラインに沿った運用が求められます。EC事業者が安全に生成AI画像を利用するために確認しておきたい主要なポイントを整理します。
使用記録の保存と透明性の確保
どのAIツールを使用し、どのようなプロンプトで生成したかを記録・保存しておくことは重要です。商品ページに掲載した画像が外部から指摘を受けた際に、適法性を説明するための証拠となります。社内で複数人が生成をおこなう場合には、共有フォルダやプロジェクト管理ツールに記録を残す仕組みを整えると安心です。
既存作品との類似性チェック
生成AIは学習データの影響で、特定のブランドロゴやキャラクターデザインに似た画像を生み出すことがあります。こうした画像をそのまま使用すると、著作権侵害や商標権侵害を問われるリスクがあります。特にファッションやエンタメ関連では、デザイン模倣に敏感なため、「似すぎていないか」を人間の目でチェックする工程を必ず入れましょう。
サービス規約の確認と商用利用権の把握
生成AIサービスごとに、生成物の著作権や利用範囲の扱いは異なります。OpenAI、Google、Stability AI、Midjourney(有料)、Microsoftはすべて商用利用を許可していますが、詳細は異なります。
たとえば、MicrosoftとAnthropic(エンタープライズ)のみが、出力が第三者の権利を侵害した場合のIP補償を提供しています。ECで利用する場合には、広告画像や商品写真に転用できるか、二次利用(印刷や他媒体での使用)が可能かも確認しておく必要があります。利用規約は改訂されることもあるため、定期的にチェックしましょう。
人間の創作性の付加
AIが生成した画像は、そのままでは「人間の創作性が反映されていない」と判断され、著作権が成立しないと解釈される可能性があります。トリミングや色調補正、プロンプトによる生成し直しなど、人間が積極的に関与することで、オリジナリティーを担保しやすくなります。
結果として、EC事業者側への権利帰属を明確化させるだけでなく、トラブル回避にもつながるでしょう。
炎上を避けながらMidjourneyを実際に使う現場の知恵

画像生成AIのイメージ
理論や法律の話は分かった。でも、実際にMidjourneyを使おうとすると、予想外の問題に直面するんですよね。ここでは、他のサイトでは絶対に教えてくれない、現場で本当に困ったときの具体的な解決策を紹介します。
問題1:生成した画像が既存作品に似すぎていて使えない
これ、めちゃくちゃよくあります。特にキャラクターデザインや商品パッケージを作ろうとしたとき、生成された画像が「あれ?これディズニーのキャラに似てない?」となることが頻発します。
具体的な解決手順:
まず、生成した画像をGoogle画像検索とTinEyeの両方で逆引き検索してください。これだけで類似画像の80%は発見できます。次に、もし類似性が高い場合、プロンプトから問題の要素を特定します。
例えば「magical princess with ice powers」というプロンプトで『アナと雪の女王』のエルサに似た画像が生成された場合、「ice powers」という要素が問題です。これを「water manipulation abilities」や「botanical magic」に変更するだけで、全く違う方向性の画像が生成されます。
さらに重要なのは、ネガティブプロンプトの活用です。Midjourney V7では「–no Disney, Pixar, animated movie character」のようなパラメータを追加することで、特定のスタイルを避けることができます。
実際の修正例を見てみましょう。
問題のあったプロンプト: 「beautiful princess with long blonde hair and ice magic, elegant blue dress, Disney style」
修正後のプロンプト: 「elegant woman with silver-white hair in asymmetric bob cut, controlling crystalline water formations, wearing geometric minimalist navy outfit, architectural photography style, clean lines –no Disney, animated, cartoon –stylize 200」
この修正により、ディズニー風ではなく、建築写真のような洗練されたスタイルのイメージが生成されます。
問題2:商用利用したいのに著作権的にグレーゾーンで不安
Midjourneyの有料プランに入っているから商用利用OKでしょ?と思っていたら大間違いです。プラットフォームの規約上はOKでも、生成された画像自体が第三者の権利を侵害している可能性があります。
リスクを最小化する5つのステップ:
ステップ1は、プロンプトに実在のアーティスト名や作品名を絶対に入れないこと。「in the style of Van Gogh」はギリギリセーフ(著作権切れ)ですが、「in the style of Banksy」は完全にアウトです。Banksyは存命中のアーティストで、その作風を模倣することは法的リスクを伴います。
ステップ2として、生成した画像に対して必ず人間の手による編集を加えること。著作権保護を受けるには「人間の創作性」が必要です。Photoshopで最低でも3箇所以上の実質的な変更を加えましょう。色調補正だけでは不十分で、構図の変更、要素の追加・削除、テクスチャの手描き追加などが有効です。
ステップ3は、生成プロセスの記録を保存すること。使用したプロンプト、生成日時、Midjourneyのジョブ番号、編集前後のファイル、Photoshopの編集履歴まで、すべて保存してください。訴訟になったとき、これが「善意の利用」を証明する唯一の証拠になります。
ステップ4として、特に重要なプロジェクトでは専門家によるクリアランスチェックを受けること。著作権専門の弁護士に1件あたり5万円〜10万円程度で確認してもらえます。これは保険のようなもので、数百万円の訴訟リスクを考えれば安い投資です。
ステップ5は、商品やサービスのリリース前に小規模テストを実施すること。限定的な範囲で公開し、72時間様子を見ます。この期間に権利者からのクレームが来なければ、大きな問題はない可能性が高いです(ただし、これで完全に安全というわけではありません)。
問題3:クライアントに「これAIで作ったの?」と聞かれたときの対応
正直に「はい、Midjourneyを使いました」と答えるべきか、それとも曖昧にすべきか。これ、現場で本当に悩む問題です。
最適な対応戦略:
まず大前提として、嘘をつくのは絶対NGです。後でバレたときの信頼失墜は取り返しがつきません。2024年のSelkie騒動を思い出してください。隠そうとしたことが批判をさらに大きくしました。
推奨される回答例は次のとおりです。「AIツールを創作プロセスの一部として活用しています。ただし、コンセプト設計、プロンプトエンジニアリング、生成後の編集・調整はすべて私が行っており、最終的なアウトプットには私の創作性が反映されています。」
この回答のポイントは3つあります。第一に、AIを「ツール」として位置づけることで、Photoshopやillustratorと同列に扱っています。第二に、人間の創作的関与を強調することで、著作権的な正当性を主張しています。第三に、透明性を保つことで信頼を得ています。
もしクライアントが「AIは使わないでほしい」と言った場合は、代替案を提示しましょう。「承知しました。その場合、制作時間が約3倍になり、費用も相応に増加しますが、よろしいですか?」多くの場合、クライアントはコストと納期を重視するため、再考してくれます。
炎上しないMidjourneyプロンプトの実践テクニック
理論は十分。ここからは、実際に使える具体的なプロンプトと、炎上を避けるための技術的なノウハウを紹介します。
著作権侵害リスクを最小化するプロンプト設計
Midjourney V7の最新機能を活用しながら、法的リスクを回避するプロンプトの書き方には、明確なパターンがあります。
基本構造: 「 + + + 」
悪い例(リスク高):
「Spider-Man character in Marvel style, red and blue costume, New York background」
→ これは商標権・著作権の直接侵害です。訴訟リスク極大。
良い例(リスク低):
「athletic figure in geometric red and navy bodysuit, urban architecture background, dynamic pose, architectural photography style, clean minimalist aesthetic, volumetric lighting –no Marvel, superhero, comic –ar 2:3 –stylize 250」
この違いが分かりますか?良い例では、具体的なキャラクター名やフランチャイズ名を避け、抽象的な視覚要素だけで表現しています。
業種別の安全なプロンプト実例
ファッションECの商品画像を作りたい場合:
「minimalist cotton dress on mannequin, studio lighting setup with softbox, clean white background, product photography style, crisp details, professional commercial shoot aesthetic –ar 4:5 –quality 2 –no model, person, brand logo」
カフェのメニュー用食品写真を作りたい場合:
「artisan latte with intricate foam pattern, ceramic cup on wooden table, natural morning light from window, overhead 45-degree angle, food photography, shallow depth of field, warm color palette –ar 1:1 –stylize 100 –no Starbucks, brand, chain cafe」
不動産会社のヘッダー画像を作りたい場合:
「modern minimalist living room interior, large windows with city view, neutral color scheme, architectural digest style photography, golden hour natural lighting, sophisticated design –ar 16:9 –quality 2 –no specific building, famous landmark」
これらのプロンプトに共通するのは、一般的な視覚要素の組み合わせで独自性を出している点です。特定のブランドやアーティストに依存していません。
Midjourney V7の最新パラメータ活用術
2026年現在、Midjourney V7で使える重要なパラメータを理解することが、プロ級の画像生成への近道です。
–stylize (略称 –s) は、AIの芸術的解釈の強さを0〜1000で制御します。ビジネス用途では200〜400が最適です。0に近いほどプロンプトに忠実、1000に近いほど芸術的ですが、制御不能になりがちです。
–chaos (略称 –c) は、生成のランダム性を0〜100で制御します。商用利用では0〜30が推奨。50以上だと予測不可能な結果になります。
–quality (略称 –q) は、レンダリング品質を1〜4で指定します。最終成果物は必ず2以上にしましょう。1はドラフト用です。
–weird (略称 –w) は、V7で追加された実験的なパラメータで、0〜3000の範囲で非現実的な要素を追加します。通常は使用しませんが、アート作品には有効です。
–oref(Omni Reference) は、V7の新機能で、参考画像を指定して一貫したキャラクターやオブジェクトを生成できます。ただし、著作権のある画像を参照に使用するのは厳禁です。自分で撮影した写真や、自作のスケッチのみを使用してください。
実践的な組み合わせ例:
「corporate professional headshot, neutral gray background, natural expression, business attire –ar 4:5 –s 250 –q 2 –c 10」
生成後の「人間の創作性」の追加方法
著作権保護を受けるには、AI生成画像に対して実質的な人間の創作的関与が必要です。単なるトリミングや色調補正では不十分です。
レベル1(弱い):基本的な調整のみ
明るさ調整、コントラスト調整、トリミング、サイズ変更
→ これだけでは著作権保護は期待できません。
レベル2(中程度):実質的な編集
背景の一部を別の画像に置き換え、テキストやグラフィック要素の追加、色相の大幅な変更、フィルター効果の重ね掛け
→ 著作権保護を受けられる可能性が出てきます。
レベル3(強い):創作的な再構成
複数のAI生成画像を合成、手描き要素の追加(ブラシツールで描画)、レイヤーマスクを使った複雑な合成、独自のテクスチャオーバーレイ、構図の大幅な変更
→ 著作権保護を受けられる可能性が高いです。
Photoshopでの具体的な作業フロー:
- Midjourney生成画像をベースレイヤーとして配置
- 新規レイヤーで手描き要素を追加(5〜10%程度)
- 調整レイヤーで独自の色調を作成
- 別のMidjourney画像から要素を切り抜いて合成
- テクスチャオーバーレイで質感を追加
- 最終的な構図調整とシャープネス処理
このプロセス全体で、最低でも30分以上の編集時間をかけることが推奨されます。時間をかけることで、「人間の創作的関与」の証明がしやすくなります。
EC事業者が直面する実際のトラブルと予防策
理論的な話だけでなく、ECサイトを運営している事業者が実際に遭遇するトラブルと、その具体的な対処法を見ていきましょう。
ケース1:商品画像がInstagramで「AIっぽい」と批判された
2026年1月、ある中小アパレルブランドが新作ドレスの着用イメージをMidjourneyで生成したところ、「モデルの手の指が6本ある」とSNSで指摘され、炎上しかけました。
予防策:
Midjourney V7になっても、まだ手や指の表現には課題があります。人物の全身を含む画像を生成する場合、必ず以下をチェックしてください:
指の本数(各手5本ずつ)、関節の位置と曲がり方、手のサイズと身体のバランス、両目の位置と大きさの均等性、歯の数と配置(笑顔の画像の場合)、耳の左右対称性。
不自然な箇所を発見したら、Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」や「修復ブラシツール」で修正します。それでも難しい場合は、その部分を衣服やアクセサリーで隠す、あるいは構図を変更して問題の箇所をフレーム外にすることを検討してください。
対処法:
もし既に公開後に指摘された場合、24時間以内に誠実な対応を取ることが重要です。「ご指摘ありがとうございます。画像生成プロセスで不自然な箇所が残ってしまいました。画像を修正版に差し替えます」と素直に認めて修正しましょう。
削除して無かったことにする、無視する、言い訳をする、は最悪の対応です。これらは信頼を失い、炎上を加速させます。
ケース2:競合他社から「うちの商品画像に似ている」とクレーム
これは実際によくあるケースです。特に同じ業界の複数の企業が同じようなプロンプトでMidjourneyを使っていると、驚くほど似た画像が生成されることがあります。
予防策:
プロンプトに独自性を持たせることが重要です。業界標準のキーワードだけでなく、自社ブランドの独自要素を3つ以上含めましょう。
例えば、オーガニックコスメの商品画像を作る場合:
一般的なプロンプト(独自性なし):
「organic skincare product, natural ingredients, white background」
独自性のあるプロンプト:
「handcrafted botanical serum in amber glass bottle, dried lavender stems arranged in asymmetric pattern, textured linen fabric background, soft diffused morning light from north-facing window, minimal composition with negative space –ar 4:5」
この違いは、5つ以上の具体的な視覚要素(amber glass、dried lavender、asymmetric pattern、linen fabric、north-facing window light)を指定していることです。これにより、他社とは明確に異なる画像が生成されます。
対処法:
もしクレームを受けた場合、まず双方の画像を専門家に分析してもらうことが重要です。著作権法では「ありふれた表現」は保護されません。商品写真における一般的な構図や照明は、誰もが使える表現です。
相手方の主張が不当であれば、弁護士を通じて「当社の画像は独自のプロンプト設計と編集プロセスを経たオリジナル作品であり、貴社の主張には根拠がありません」と回答します。
一方、確かに類似性が高い場合は、画像を差し替えることを検討しましょう。法廷闘争のコストと時間を考えれば、新しい画像を作り直す方が賢明です。
ケース3:顧客から「実物と違う」と返品クレーム
AI生成画像が実際の商品よりも魅力的すぎると、景品表示法の「優良誤認」に該当する可能性があります。
予防策:
商品の視覚的特徴を正確に反映するプロンプト設計が必要です。実物写真も必ず併記しましょう。
例えば、ニットセーターの場合:
「loose-knit cotton sweater, visible knit texture with slight irregularities, soft drape showing natural fabric weight, realistic garment photography, actual product representation –no perfect, flawless, idealized –q 2」
「–no perfect, flawless, idealized」というネガティブプロンプトがポイントです。これにより、過度に美化された画像を避けられます。
対処法:
返品クレームが発生した場合、商品ページに明確な注記を追加します:「この画像は商品のイメージを視覚的に表現したものです。実際の商品はをご確認ください。」
また、返品ポリシーを明確にし、「イメージ違い」による返品を受け付ける体制を整えることで、顧客満足度を維持できます。
2026年最新:AI検出ツールとの戦い
最近、「AI生成画像検出ツール」が進化しており、一部のプラットフォームやクライアントが使用を始めています。これにどう対応すべきでしょうか?
AI検出ツールの仕組みと限界
現在の主要なAI検出ツール(Hive Moderation、Optic、Illuminarty等)は、画像の統計的パターンを分析してAI生成を判定します。しかし、精度は70〜85%程度であり、誤判定も多いのが現実です。
特に、人間が編集を加えた画像は検出が困難になります。前述の「レベル3」の編集を施せば、ほとんどの検出ツールをすり抜けられます。
対応戦略:透明性と品質で勝負
AI検出ツールに引っかかることを恐れて隠すのではなく、堂々と「AIツールを活用しつつ人間の創作性を加えている」と公開する方が、長期的には賢明です。
なぜなら、2026年現在、消費者の81%が「人間が作成したコンテンツにより多く支払う」と回答していますが、同時に「AIツールを適切に使用している」ことへの理解も深まっているからです。
重要なのは、最終的なアウトプットの品質です。AIで生成しようが手描きしようが、顧客の求める価値を提供できていればそれでいいのです。
ぶっちゃけこうした方がいい!
さて、ここまで法律や技術、リスク管理の話をしてきましたが、正直なところを言いますね。
MidjourneyでAIアートを使うことに、そこまで怯える必要はありません。重要なのは「賢く、正直に使う」ことです。
個人的には、次の3つのルールを守れば、ほぼ問題は起きないと考えています。
1つ目、既存キャラクターや有名アーティストの名前を使わない。これさえ守れば、著作権侵害のリスクは90%減ります。「スターウォーズ風」ではなく「未来的な宇宙戦士」、「ピカソ風」ではなく「キュビズム的な幾何学構成」と表現するだけです。言い換えの技術を磨きましょう。
2つ目、生成した画像を必ず自分で編集する。Photoshopで30分いじるだけで、その画像はあなたの著作物になります。編集の痕跡を残すことも忘れずに。レイヤーを保存しておけば、いざというとき「私の創作的関与」を証明できます。
3つ目、そして最も重要なのが、透明性を保つこと。「AIを使いました」と言ったからといって、価値が下がるわけではありません。むしろ「最新技術を活用できるプロフェッショナル」として評価されることもあります。隠そうとするから炎上するのです。
結局のところ、炎上するブランドと炎上しないブランドの違いは、技術の使い方ではなくブランドの姿勢と顧客とのコミュニケーションにあります。Selkieが炎上したのは、AIを使ったからではなく、ブランドが掲げる「アーティスティックな自己表現」という価値観とAI使用が矛盾していると顧客が感じたからです。Etroが批判されなかったのは、高級ブランドとして先端技術を取り入れることが期待されているからです。
ぶっちゃけ、AIは道具であって敵ではないんですよ。包丁だって使い方を間違えれば危険ですが、正しく使えば素晴らしい料理が作れます。Midjourneyも同じです。
もしあなたが個人クリエイターやスモールビジネスなら、Midjourneyは強力な武器になります。大企業のように何十万円もイラストレーターに発注できなくても、高品質なビジュアルが作れるんですから。その恩恵を享受しつつ、アーティストへの敬意も忘れず、法的リスクも管理する。それができれば、AIとクリエイティブの健全な共存は可能です。
最後にもう一度言います。怖がるな、でも舐めるな、正直にやれ。これがMidjourney時代のクリエイティブの鉄則です。
よくある質問
Midjourneyで生成した画像は商用利用できますか?
契約上はイエスです。有料プランに加入していれば商用利用権が付与されます。ただし、最も大きなリスクは2つあります。1つ目は、出力が他人の保護された作品に酷似している場合、侵害クレームにつながる可能性があること。2つ目は、純粋にAI生成されたコンテンツはあなた自身が保護できない可能性があるため、他の人が再利用できることです。
人間の創作的な決定(選択、配置、実質的な修正)が加わった範囲では保護可能です。プロンプトからの画像生成だけでは保護不可能とされています。
なぜ一部のブランドはAI使用で炎上し、他のブランドは批判されないのですか?
消費者は、ブランドが自己標榜する価値観に基づいて判断します。Selkieのように「芸術的自己表現」「倫理的製造」「インクルーシビティ」を強調するブランドがAIを使用すると、その価値観との矛盾が批判を招きます。一方、Etroのような高級ブランドや、Valentino、Prada、Coperniなどは、同様にAIを広告に使用しても大きな批判を受けていません。
また、透明性の問題もあります。AI使用を積極的に公表するか、暗黙的に使用するかによっても反応は異なります。
今後AI生成アートへの規制は強化されますか?
はい、規制は確実に強化される方向にあります。EUではAI規制法案が進行し、生成AIの利用者に「学習データの開示」や「生成物の透明性」を求める方向性が示されています。日本でも文化庁がガイドラインを公表し、学習データの取り扱いや利用者責任を中心に、議論が続いています。
米国では、2024年4月に導入された「Generative AI Copyright Disclosure Act」により、AI企業にトレーニングデータセットの開示が義務付けられる可能性があります。これが可決されれば、少なくともこれらのモデルが使用したデータについての透明性が得られます。
2026年3月までに、AIの経済的影響と著作権への影響に関する報告書が英国で発表される予定です。政府の好ましい立場は、人間の著作性がない完全にAI生成されたコンテンツの著作権保護を潜在的に廃止することを示唆しています。
まとめ:AIとクリエイティビティの共存への道
Midjourneyで作られたAIアートが炎上する理由は、単なる技術への拒否反応ではありません。それは創造性の本質、アーティストの権利、そして私たちが芸術に何を求めるかという根本的な問いかけです。
2026年2月現在、ファッション業界は転換点にあります。一方ではAIの効率性を求める声があり、他方ではアナログの工芸と人間の創造性への回帰が見られます。ディズニーとユニバーサルの訴訟は、この議論に法的な決着をもたらす可能性があります。
しかし、歴史が示すように、新しい技術は既存のアートフォームを殺すのではなく、変容させます。19世紀の写真の発明は絵画を終わらせませんでした。むしろ表現主義運動を生み出し、芸術家に新しい可能性を開きました。同様に、AIは人間のデザイナーやアーティストを置き換えるのではなく、物理的な工芸や本物の人間の創造性への新たな評価を生み出すかもしれません。
LVMHのデジタル戦略ディレクター、ニコラ・ド・ピレイは言います。「私たちは静かなテクノロジー企業でありたい。ファッションデザイナーがGenAIを使用するかどうかは重要ではありません。重要なのは、どのように使用するかです。」
結局のところ、AIは道具に過ぎません。問題は、その道具を誰が、何のために、どのように使うかです。透明性を保ち、アーティストの権利を尊重し、人間の創造性を中心に据えることで、AIとクリエイティビティの健全な共存が可能になるでしょう。


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