AIによるコーディング支援ツールの導入が進む中、私たちエンジニアの作業効率は飛躍的に向上しています。しかし、便利さが裏目に出ることもあります。今回、私たちのチームで起こった「Claude Code（クロード・コード）」による思わぬトラブルを通じて、AIと上手に付き合うための教訓を共有します。この事例から、AIの力を引き出し、問題を未然に防ぐためのポイントを学びましょう。
AI支援ツールの「落とし穴」予期しないメモリ問題の発生
AIのイメージ
開発効率を高めるために、私たちのチームではAI支援ツール「Claude Code」を積極的に活用していました。AIがコードを生成し、テストコードも自動で作成してくれる便利さに、最初は感動していました。しかし、ある日、予期しない問題が発生しました。それは、開発中のMacBookの動作が急に重くなり、ファンが鳴り響き、VS Codeの入力が遅延するという現象でした。
何気なくアクティビティモニタを確認すると、メモリを大量に消費する謎のプロセスが表示されていました。さらに、他のチームメンバーから「CIでテストが失敗している」と報告がありました。ローカルでは問題なく動作していたのに、なぜかCI環境で失敗してしまう…。
根本原因の発見AIの「よしなに実行」が招いた混乱
問題の原因を追及していくうちに、すべての問題が「Claude Code」によって自動で実行されたテストコマンドにあることがわかりました。AIは、私たちが特に指示していないにもかかわらず、最も一般的と思われる方法でテストを実行してしまったのです。具体的には、`npx vitest` というコマンドを使用していました。
ただし、私たちのプロジェクトでは、`pnpm`というパッケージマネージャを使用しており、`npx`を使うことでキャッシュやバージョンの不一致が発生しやすく、ローカルとCI環境の動作が異なるという問題が発生していたのです。これが「ローカルで成功し、CIで失敗する」という現象の原因でした。
Claude Codeを活用するための最適な対策とは？
この問題を解決するために、私たちはプロジェクトのコマンド実行方法を統一し、AIが正しく動作するように環境を整えました。具体的な対策は以下の通りです。
テストコマンドを統一する
まず、テストコマンドを`package.json`の`scripts`セクションに明確に定義しました。これにより、AIがテストを実行する際に迷うことなく正しいコマンドを使えるようにしました。
"scripts": {
"test": "vitest --run"
}
これで、`pnpm test`を実行することで、テストが一貫して動作するようになりました。
インストール方法を統一する
次に、依存関係をインストールする際に、`pnpm`以外のパッケージマネージャが使用されないように制限をかけました。具体的には、`package.json`に以下の設定を追加しました。
"scripts": {
"preinstall": "npx only-allow pnpm"
}
これにより、`npm install`などで依存関係がインストールされるリスクを低減し、環境の差異を防ぐことができました。
具体的なコマンド実行方法をAIに伝える
AIが正しく動作するためには、AIに適切な「前提」を伝えることが重要です。私たちのように、特定のコマンドやパッケージマネージャを使用している場合、AIにその環境に最適な設定を示してあげることで、問題を未然に防ぐことができます。
Claude重い？AIツールによるメモリ消費の回避法
AIツールがメモリを食い潰す原因は、実は「バックグラウンドプロセス」が生き続けることが大きな要因です。特に、`vitest`のようなテストツールは、デフォルトで「watchモード」に設定されているため、テストが終わった後もプロセスが終了しないことがあります。これを防ぐためには、`–run`オプションを指定して、テスト後にプロセスが終了するように設定することが重要です。
また、CI環境では、特定のコマンドを使用することで、リソースを効率よく使うことができます。`pnpm`を使用することで、依存関係の管理が厳密になり、意図しないパッケージの使用を防ぐことができました。
よくある質問
Q1. Claude Codeを使っていてメモリが重くなる理由は何ですか？
AIツールは、通常のプログラムと同じようにメモリを消費します。しかし、特にバックグラウンドで実行されるプロセスや無駄な監視モードがリソースを食い潰す原因となります。`vitest`のようなテストツールはデフォルトで「watchモード」になっているため、テストが終了してもプロセスが終了せず、メモリを消費し続けます。
Q2. CI環境でテストが失敗するのはなぜですか？
ローカルとCI環境の動作が異なる場合、原因としては依存関係のバージョン差やパッケージマネージャの不一致が考えられます。AIが自動的に実行したコマンドが、プロジェクトの設定に合っていなかったことが原因となります。これを防ぐためには、`package.json`に明確なコマンドとインストール方法を定義することが重要です。
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まとめ
AIツールは確かに開発を効率化する素晴らしいツールですが、ツールを効果的に使うためには、環境を整えることが不可欠です。私たちの事例から学んだのは、AIに対して「正しい道しるべ」を提供することの重要性です。適切な設定を行うことで、AIが意図通りに動作し、私たちの作業をサポートしてくれるようになります。
AIツールを活用する際は、環境整備や設定をきちんと行うことが、成功への鍵となります。
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