8月、猛暑日が続くと毎日のように頭をよぎるのが「このエアコン、いくらかかってるんだろう」という不安だと思います。設定温度を1℃上げたら本当に安くなるのか、フィルター掃除でどれくらい違うのか、ちょっとの外出は消した方がいいのか。気になるけれど、わざわざ計算するのは面倒ですよね。
そこで今回は、ChatGPTのような生成AIに「うちのエアコンの節電テク、効果はいくら?」と試算させてみました。そして出てきた数字を、ダイキンや資源エネルギー庁といったメーカー・公的機関の公式値と照らし合わせて、どこまで信じていいのかを確かめます。結論から言うと、AIは「ざっくりの目安」を出すのは得意ですが、鵜呑みにすると外れる場面もはっきりありました。
結論
AIへの試算は「ざっくり何円くらい安くなるか」の感覚をつかむには十分使えます。ただし出てきた金額をそのまま信じるのは危険で、必ず電気料金の単価と最新のメーカー公式値で答え合わせをするのが安全です。とくに「設定温度1℃で約10%」「フィルター掃除で数%」といった効果の目安は、AIに聞くより先に公式が数字を出しているので、AIにはその数字を使った計算を任せるのが現実的でした。
AIに節電テクの効果を試算させてみる
まずChatGPTに、こんなふうに具体的な条件を添えて聞きました。
「6畳用のエアコン(消費電力およそ500W)を1日8時間、夏に冷房で使っています。電気料金は1kWhあたり31円。設定温度を28℃から29℃に1℃上げると、1か月でいくら節約できますか。目安で教えてください」
ポイントは、料金単価(31円/kWh)と使用時間をこちらから渡したことです。これを省くとAIが勝手に古い単価を当てはめて、ズレた金額を出してきます。
返ってきた答えは、おおむね「1℃上げると消費電力が約10%下がるとされ、月に数百円ほどの節約になる目安」というものでした。500W×8時間×30日で約120kWh、電気代にして約3,720円。その1割なので月370円ほど、という計算です。
メーカー・公式値と答え合わせ
ここからが本題です。AIの出した「1℃で約10%」が正しいのか、公式値と突き合わせます。
設定温度については、ダイキン工業が公式に「冷房時、設定温度を1℃上げると約10%の節電になる」と説明しています。AIの前提はここと一致していました。外気温と設定温度の差が小さいほど消費電力は減る、という理屈です。
フィルター掃除はどうでしょう。AIに聞くと「数%は安くなる」とふわっと返ってきましたが、公的な数字としては資源エネルギー庁が「2週間に1回のフィルター清掃で、冷房時は約4%、暖房時は約6%の消費電力削減」と示しています。AIの「数%」は方向としては合っていましたが、具体値は公式を見た方が確実でした。
そして悩ましいのが「30分くらいの外出、消すべきか」問題です。ダイキンの検証では、日中(9時〜18時)であれば35分までの外出なら、こまめに消すよりつけっぱなしの方が電気代は安いという結果が出ています。逆に夜の時間帯や、それより長い外出では消した方が得になります。AIに同じ質問をすると「短時間ならつけっぱなしが有利なことが多い」と答えましたが、「35分」「日中」といった条件まではこちらが指定しないと出てきませんでした。

風量の設定も触れておきます。弱風で長く回すより、自動運転にして一気に設定温度まで下げてから安定させる方が、結果的にムダが少ないとされています。AIもこの点は正しく答えてくれました。
AIの試算が外れやすい条件
便利な一方で、AIの電気代試算は次のような場面で平気で外します。ここを知っておかないと、せっかくの数字に振り回されます。
ひとつめは料金単価の取り違えです。AIは何も指定しないと、学習時点の古い平均単価を使うことがあります。家電の目安計算で広く使われる単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める31円/kWh(税込)で、2022年の改定以降2026年現在も据え置かれています。ただし、これはあくまで目安で、実際の単価は契約している電力会社やプランで変わります。だから質問するときは、検針票に書かれた自分の単価を渡すのが一番正確です。
ふたつめは古い情報や機種差です。エアコンの省エネ性能は年々上がっていて、10年前の機種と最新機種では消費電力がかなり違います。AIが一般論で出した「約500W」のような前提が、自分の部屋のエアコンと合っているとは限りません。型番のカタログにある「期間消費電力量」を見て補正すると、ぐっと精度が上がります。
みっつめは、AIが断定口調で金額を言い切ってしまうことです。実際の電気代は、その日の気温、部屋の断熱、ドアの開け閉め、人の出入りで大きく動きます。AIの「月◯◯円安くなります」は、あくまで条件をそろえた場合の目安だと受け止めてください。
よくある質問
AIだけで正確な電気代は出せますか。
正確な実額までは難しいです。AIは目安の計算を素早くこなしてくれますが、料金単価・機種の消費電力・使い方の前提がそろって初めて意味のある数字になります。検針票の単価とカタログの数値を渡すと精度が上がります。
設定温度を上げると本当に安くなりますか。
冷房なら、ダイキン公式で1℃上げるとおよそ10%の節電とされています。ただし快適性とのバランスもあるので、無理のない範囲で。扇風機やサーキュレーターを併用すると、体感温度を下げつつ設定温度を上げやすくなります。
短い外出はエアコンを消した方が得ですか。
ダイキンの検証では、日中の30分程度の外出ならつけっぱなしの方が安いという結果でした。30分を超える、または夜間の外出は消した方が有利になりやすいです。時間帯と外出の長さで判断が変わります。