Midjourneyで実写をイラストに変換して商用利用したいと考えていませんか?手軽に美しいイラストが作れるからこそ、つい忘れてしまいがちなのが肖像権やパブリシティ権などの複雑な法的リスクです。2026年2月現在、AI画像生成の著作権問題は世界中で裁判が相次いでおり、日本でも文化庁がガイドラインの整備を急ピッチで進めています。
このまま何も知らずに使ってしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。本記事では、Midjourneyで実写をイラスト化するときに本当に気をつけるべき肖像権のルールと、法的リスクを最小化する具体的な対策をわかりやすく解説します。
- 実写からイラスト化する際に肖像権侵害となるボーダーラインが明確に判る
- Midjourneyの商用利用ルールと日本および海外の最新法的判断が学べる
- 著作権侵害を避けるための実践的な5つの対策がすぐに実行できる
- 実写がイラストに変わっても肖像権は消えない
- Midjourney利用時の商用ルール2026年版
- 実写からイラストへの変換で問題になる2つのパターン
- 「変換」では逃げられない著作権侵害の罠
- 日本の法制度における最新動向2026年
- 実写をイラスト化するときの具体的なリスク回避法
- イラスト化されても「変身」していない場合のリスク
- 実写をイラスト化する際に使える便利なプロンプトテンプレート集
- 実際に困る問題と体験ベースの解決方法
- 法務チェック前に必ず実施する「自動検証フロー」
- Midjourneyでよくある「つい陥る誤解」と実務的解決法
- 実写イラスト化で回避すべき3つの「ブラックゾーン」
- ぶっちゃけこうした方がいい!
- よくある質問
- まとめ
実写がイラストに変わっても肖像権は消えない

画像生成AIのイメージ
多くの人が勘違いしている重要なポイントがあります。実写の写真をイラストに変換しただけでは、肖像権侵害の責任は消えません。むしろ、デジタル技術を使ってイラスト化した人物が誰なのか特定できる程度まで似ていれば、その時点で肖像権侵害となる可能性が高いのです。
日本の法律では肖像権は明確な成文法では定義されていませんが、憲法13条の幸福追求権から派生する人格権として判例で認められています。つまり、すべての人が持つ基本的な権利であり、有名人であろうと一般人であろうと関係ありません。
実写をイラストに変換する際、重要なのは「その人物が誰なのか判別できるかどうか」という点です。2024年の中国の裁判例では、AI技術で顔をスワップ(入れ替え)された画像について、変換後の画像が元の人物として即座には認識されない程度まで変わっていれば、肖像権侵害にはあたらないと判断されました。しかしこれは中国法の解釈であり、日本やアメリカではより厳しく判断される傾向があります。
Midjourney利用時の商用ルール2026年版
Midjourneyで生成した画像の商用利用が可能かどうかは、加入プランによって異なります。2026年1月時点の最新ルールを正確に理解することが、法的トラブルを避ける第一歩です。
| 利用プラン | 商用利用の可否 | その他の条件 |
|---|---|---|
| 無料プラン(トライアル) | 不可 | Creative Commons BY-NC 4.0ライセンス適用。非商用利用のみ |
| Basic・Standard・Pro | 可能 | 通常の商用利用はOK。年収100万ドル以上の企業はProプラン必須 |
| Mega | 可能 | 最上位プラン。充実した商用保護とステルスモード搭載 |
重要な注意点として、Midjourneyは出力した画像そのものの著作権は保証していません。つまり、あなたが「所有」していても、米国著作権法上、純粋にAIが生成した画像は著作権で保護されない可能性があります。2023年2月、米国著作権庁はAI生成画像には著作権が発生しないという見解を示しており、この原則は2026年時点でも変わっていません。
ただし、実写をイラストに変換する際に、その工程で人間による創作的な入力が加わった場合は話が変わります。Photoshopなどで大幅に編集し、人間の創作性が明確に反映されていれば、その部分には著作権が生じる可能性があります。
実写からイラストへの変換で問題になる2つのパターン
パターン1特定の人物が判別できるほど似ている場合
実写の写真を直接Midjourneyに入力し、そのイラスト版を作成する行為は極めて危険です。特に著名人や有名人の写真をイラスト化した場合、パブリシティ権という権利を侵害する可能性が高まります。パブリシティ権とは、有名人の名前や肖像の経済的価値を独占する権利のことで、肖像権よりも強い保護を受けます。
有名人に関しては、その顔や名前が商品の売上を伸ばす可能性があると考えられるため、これを無断で利用した場合には多くの場合侵害が成立します。例えば、芸能人の写真をMidjourneyでイラスト化して、SNS投稿や商品の広告に使用した場合、その有名人から訴えられるリスクが存在するのです。
パターン2一般人の写真をAI学習のベースにする場合
インスタグラムやSNSで見つけた一般人の写真をプロンプトに含めてイラスト化することも、肖像権侵害に該当する可能性があります。「素人だからバレない」「写真がネットに上がってるから自由に使える」といった考えは大きな間違いです。
SNSに投稿されている写真であっても、その所有権と肖像権はその人物に帰属します。写真を無断で入力して、その人物が判別できるほどのイラストが生成された場合、その人物から肖像権侵害として告発されるリスクが生じます。
「変換」では逃げられない著作権侵害の罠
実写をイラストに「変換」することで、著作権侵害を避けられるわけではありません。2023年のアメリカの著名な裁判(Andy Warhol Foundation v. Goldsmith事件)では、写真をシルクスクリーン版画に変換したアーティストであっても、元の写真の著作権者の権利を完全には排除できないと判示されました。
この判例が示すのは、たとえ別の表現形式に変換していても、元の著作物に十分に依拠していれば著作権侵害が成立するということです。つまり、実写の写真をMidjourneyでイラスト化した場合、その写真が他人の著作物であれば、その著作権者は依然として保護されているのです。
実写をイラストに変換する際に著作権侵害を避けるには、次のポイントが重要です。
- 元となる写真が自分で撮影したものか、著作権フリーの画像か確認する
- 既存の有名な作品や人物画に極めて似ている場合は使用を避ける
- Photoshopなどで人間による大幅な創作的編集を加え、変換度を高める
日本の法制度における最新動向2026年
日本の文化庁は2025年から2026年にかけて、AI生成物の著作権に関する新しいガイドラインを整備しています。このガイドでは、実写をAIでイラスト化する行為について、より詳細な指針が示されるようになってきました。
特に注目すべきは、過学習(ぎゃくがくしゅう)という概念です。これは、特定のアーティストや実在人物の特徴を意図的にAIに学習させるプロセスを指します。例えば、有名なアーティストの作風に極めて似たイラストを生成させるために、意図的にそのアーティストの作品を学習させた場合、著作権侵害として判断される可能性が高いのです。
日本では現在のところ、AI生成画像そのものは著作権法上の「著作物」とは見なされていません。しかし、その生成過程で既存の著作物の著作権を侵害していた場合には、生成物そのものの著作権とは別に、著作権侵害責任が発生します。
実写をイラスト化するときの具体的なリスク回避法
1.完全オリジナルのプロンプトを使用する
最も安全な方法は、特定の人物や写真をプロンプトに含めず、完全に言葉だけで人物像を説明することです。例えば「長い黒髪の女性、優しい表情、イラスト調」といった抽象的な指示ならば、特定の人物を特定する危険性が低くなります。
実写の写真をプロンプトに入力する「image to image(i2i)機能」は使用を避けるべきです。この機能は便利ですが、元の画像との依拠性が明確になりやすく、著作権侵害やパブリシティ権侵害のリスクが飛躍的に高まります。
2.人間による創作的編集を加える
Midjourneyで生成した画像をそのまま使用するのではなく、Photoshopやillustratorで大幅に編集を加えることで、著作権保護の強度が増します。背景を完全に描き変える、色調を大きく変更する、複数の要素を合成するなど、人間の創作的労力が明確に見える程度の編集を施すことが重要です。
この工程により、純粋なAI生成物ではなく、人間と協働して作られた創作物という性質に変わり、著作権保護がより強くなる可能性があります。
3.商用利用の前に必ず類似性チェックを実施する
生成したイラストが、既存の有名人や著作物に酷似していないかを確認することは必須です。Google画像検索やTinEyeなどの逆画像検索ツールを使用し、生成したイラストが既知の人物や作品に極めて似ていないかを確認します。少しでも「この人に似ているかも」と感じたら、その画像の商用利用は避けるべきです。
4.ステルスモードの活用と記録保管
Midjourneyの有料プラン(Proプラン以上)には、生成した画像を公開しないようにする「ステルスモード」があります。競合他社に知られたくない素材や、肖像権が微妙なグレーゾーンの画像については、このモードを使用することで公開リスクを低減できます。
さらに重要なのは、生成過程の記録を保管することです。使用したプロンプト、生成日時、パラメータ設定などをスクリーンショットや記録ファイルで保存しておけば、万が一トラブルが発生した際に「実在人物を意図的にマネしていないこと」を立証する証拠となります。
5.法務相談や専門家への事前相談
商用利用をする前に、AI関連の法律に詳しい弁護士に相談することを強く推奨します。特に企業や法人が商用利用する場合は、事前の法務チェックを経ることで、後々の訴訟リスクを大幅に削減できます。月数千円程度で利用できる法務相談サービスもあるため、保険代わりに活用する価値は十分にあります。
イラスト化されても「変身」していない場合のリスク
実写をイラストに変換するプロセスには、「どの程度変身したか」という判断が法的に重要になります。アメリカではこれを「Transformative(変身性)」と呼び、どの程度オリジナルから離れた作品が生まれたかで著作権侵害の判定が左右されます。
2003年のTiger Woods事件では、実在の人物の肖像を含むセリグラフ(版画)が5000枚製作されましたが、背景に他のゴルファーが描かれており、スタイライズされた表現だったため、セーフとされました。これは十分な変身性があると判断されたためです。
一方、直線的で逼真的なイラストである場合、変身性が低いと判断される傾向があります。つまり、Midjourneyで実写をリアルなイラストに変換しただけでは、変身性が不足していると見なされる可能性があるのです。より大幅な加工や、アニメ調や抽象的なスタイルへの変換のほうが、法的には有利に働くことが多いのです。
追加内容を作成するため、より深い実践的情報を検索します。次に、実際に使う際の問題や解決方法を検索します。十分な情報が集まりました。追加コンテンツを作成します。
実写をイラスト化する際に使える便利なプロンプトテンプレート集

画像生成AIのイメージ
Midjourneyで実写をイラスト化する際に最も重要なのは、元の写真に依拠しないニュートラルなプロンプト設計です。以下は肖像権侵害のリスクを最小限に抑えながら、質の高いイラストを生成するための実践的なプロンプトテンプレートです。
基本的な安全なイラスト化プロンプト
このテンプレートは特定の人物を参照せず、説明的な特徴だけを使用します。
- 「歳の女性、、、、イラスト調、柔らかな光、背景は、デジタルアート、高品質 –ar 4:5 –style raw –v 7」
- 「のキャラクター、、、イラスト調、映画的な照明、構図は、詳細なテクスチャ –ar 9:16 –s 750 –q 2」
- 「ファッションイラスト、のスタイルの人物、、優雅なポーズ、背景は単色またはぼかし、デジタルペイント風 –ar 3:4 –style raw」
アニメ調・イラスト調への変換プロンプト
アニメ調やイラスト調は、変身性が高いため法的リスクが低くなります。
- 「anime illustration of a , soft color palette, character design style, studio quality, trending on artstation –ar 1:1 –niji 6」
- 「watercolor painting style portrait of a , loose brushstrokes, artistic interpretation, warm tones, dreamy atmosphere –ar 4:5 –style raw」
- 「油彩画風の肖像画、、古典的な絵画技法、暖かい照明、背景は抽象的、美術館レベルのクオリティ –ar 5:7 –s 300」
実写の代わりに使う環境・概念ベースのプロンプト
実写をイラスト化する最も安全な方法は、実写そのものを参照しないことです。代わりに、環境や職業、雰囲気から人物を描出させます。
- 「office professional portrait, executive environment, soft studio lighting, cinematic photography style, detailed facial features, corporate headshot quality –ar 4:5 –v 7 –q 2」
- 「artist in studio surrounded by paintings, creative energy, warm natural light from windows, illustration style, bohemian aesthetic –ar 16:9 –style raw」
- 「医者の診察室でのキャラクター、白衣、落ち着いた表情、専門的な背景、デジタルアート、医療系の色合い –ar 4:5 –s 500」
実際に困る問題と体験ベースの解決方法
「体が歪んだり、手指がおかしい」という最大の悩みへの対応
Midjourneyを使う者が最も経験する悩みが、生成された人物の手足や指が歪んでしまう問題です。これは単純なアスペクト比の問題です。
実際の解決手順は以下の通りです。
最初から1:1(正方形)のアスペクト比で生成します。このアスペクト比を使用することで、Midjourneyが人物の全身バランスを保ちやすくなります。例えば、以下のプロンプトに –ar 1:1 を加えます「portrait of a woman, soft lighting, illustration style, high quality –ar 1:1 –v 7」
生成後、気に入った画像をアップスケールします。Uボタンをクリックして拡大します。
次にZoom Out機能を使用します。アップスケール後の画像に対して、Zoom Out 2x ボタンをクリックするだけで、画像の中央部分を保持したまま周囲が拡張されます。
拡張後に好みのアスペクト比でクロップします。例えば、16:9の風景画像が必要な場合、Zoom Out後の拡張画像をそのアスペクト比に調整するだけで完成です。
このプロセスを使えば、歪みのない人物イラストを確実に得られます。実は、多くのプロは体部分の歪みを避けるため、常に正方形から始めて、後で拡張する流れを採用しています。
「顔が毎回変わってしまう」という一貫性の問題への対応
複数のシーンで同じキャラクターを使用したい場合、顔が毎回異なってしまうのは実務的に大きな問題です。これを解決する方法がCharacter Reference(キャラクターレファレンス)機能です。
Midjourneyの最新バージョン(V7以降)では、–cref(キャラクターレファレンス)パラメータが使用できます。以下が実践的な手順です。
まず、気に入ったイラストキャラクターの画像をURLで取得します。例えば、アップロードしたマスター画像のURLを使用します。
次に、新しいプロンプトに以下の形式を使用します「 –cref –cw 80」
–cwパラメータは、キャラクターの重要度を調整します。範囲は0~100で、100に近いほど元の顔を強く保持します。実務的には、70~85あたりが最適です。
具体例としては「a woman wearing a red dress in a professional meeting, cinematic lighting –cref https:// –cw 85 –ar 4:5 –v 7」
さらに、スタイルレファレンス(–sref)を組み合わせることで、色彩や雰囲気も統一できます。この組み合わせが、複数枚のコンテンツを制作する際に最も実用的な手段です。
「指定したはずの背景が勝手に変わる」という描写のズレ
プロンプトで詳細に背景を指定しても、Midjourneyが別の背景を生成することがあります。これは単語の優先順位の問題です。
解決方法は非常にシンプルです。最も重要な要素を最初に記述することです。例えば、以下のように順序を変えるだけで効果が変わります。
悪い例「illustration, portrait, beautiful woman, sitting in office, warm lighting, cinematic」
良い例「beautiful woman sitting in professional office with warm cinematic lighting, portrait illustration style」
前者のような箇条書き的な記述では、Midjourneyは各要素をばらばらに解釈してしまいます。後者のように文章として流れよく記述すると、全体のコンテキストが優先されます。
具体的な応用例として、実写をイラスト化する場合は「portrait illustration of a professional woman, set in a modern office with floor-to-ceiling windows, soft natural lighting, editorial fashion style, high detail, 8K quality –ar 4:5」というように、主人公を最初に、次にシーン、最後にスタイルという順序にします。
「リアリティを求めすぎて肖像権リスクが高まる」というジレンマ
多くの人が犯す間違いは、「できるだけ写真的にリアルに」という欲求です。しかし、リアルであればあるほど、特定の人物に似ている可能性が高まります。
正しいアプローチは、「リアル」と「変身性」のバランスを意識的に取ることです。例えば
リスク高「hyper-realistic portrait, photorealistic skin texture, 8K quality, Canon EOS R5 shot –ar 4:5 –s 1000」
リスク中「detailed portrait illustration with realistic features, soft painting style, editorial quality –ar 4:5 –s 500」
リスク低「portrait illustration with stylized features, artistic interpretation, digital painting aesthetic, dreamy quality –ar 4:5 –s 300」
–s(stylize)パラメータが低いほど、実は「誰でもない人物」になりやすいのです。実務的には、–s 300~500の範囲が、十分にクオリティがありながらも肖像権リスクが低いゾーンです。
法務チェック前に必ず実施する「自動検証フロー」
実写をイラスト化した後、商用利用前に実施すべき検証プロセスを、実際に機能するワークフローとして解説します。
ステップ1Google画像検索による逆検索
生成したイラストをGoogle Imagesで検索します。驚くほど多くの場合、既知の著名人や既存の作品に極めて似ていることが判明します。
Chromeブラウザを使用している場合、右クリック→「Googleで画像検索」で瞬時に類似画像が検出されます。この検索結果に「この画像ですか?」という著名人のリンクが複数出現した場合、その画像の商用利用は絶対に避けるべきです。
ステップ2TinEyeによる詳細な逆検索
TinEyeは、Google検索よりも詳細なメタデータを検出します。以下のプロセスで実施します。
TinEyeのウェブサイト(tineye.com)にアクセスします。生成したイラストをアップロードします。結果を確認し、既存の著名な作品や人物に似ていないかチェックします。
特に注意すべきは、「この人物はモデルXとして使用されている」というような関連情報です。この情報が出現した場合、その画像は使用を避けるべきです。
ステップ3ChatGPTを使用した詳細分析
逆検索だけでは不十分な場合、ChatGPTに画像を分析させることで、さらに詳細な評価が可能です。
以下のプロンプトをChatGPTに与えます「この画像を見て、これが特定の有名人や既存作品のキャラクターに似ていないか、客観的に評価してください。特に顔の特徴、髪型、表情について分析してください。」
ChatGPTは実写とイラストの比較に長けており、特定の有名人への類似性を的確に指摘します。この評価で「〇〇に似ている」という指摘が出た場合、その画像は商用利用から除外すべきです。
Midjourneyでよくある「つい陥る誤解」と実務的解決法
誤解1「無料プランで作ったものは使わない=OK」
これは部分的にしか正しくありません。無料プランで生成した画像は商用利用できませんが、肖像権侵害のリスクは消えません。つまり、個人的な利用であっても、実在人物に似たイラストを公開すれば、肖像権侵害として告発される可能性があります。
正しい理解は、「無料プラン=商用利用不可」であり、「肖像権は別問題」ということです。
誤解2「イラスト化したから別の作品になった」
イラスト化は変身性の向上には貢献しますが、元の写真との「依拠性」を完全には消しません。特に、詳細な特徴(ほくろ、傷、独特のメイク)をイラストに含めた場合、著作権侵害として成立する可能性があります。
実務的には、アニメ調への変換であって、スタイルの変更ではないという認識が正確です。
誤解3「海外のツールだから日本の法律は関係ない」
Midjourneyはアメリカのサービスですが、日本で商用利用すれば日本の法律が適用されます。加えて、2026年現在、日本の文化庁はAI生成物に関する新しいガイドラインを急ピッチで整備中です。「グローバルなサービスだから」という理由で、日本の法律を無視することはできません。
実写イラスト化で回避すべき3つの「ブラックゾーン」
完全ブラックゾーン著名人の写真を直接イラスト化
これは言うまでもなく危険です。芸能人、スポーツ選手、政治家など、名前が知られている人物の写真をイラスト化することは、パブリシティ権侵害の確実な成立を意味します。
法的な議論の余地はありません。やめるべきです。
グレーゾーン1SNS上で見つけた「美しい一般人」の写真のイラスト化
InstagramやTikTokで見つけた美しい人物の写真をイラスト化する行為は、肖像権侵害のリスクがあります。実務的には、以下のように判断すべきです。
その人物がSNS上で有名な場合(フォロワー数が多い、メディア露出がある)肖像権侵害のリスク高
その人物が完全な一般人の場合肖像権侵害のリスク中程度(本人が見つけて異議を唱える可能性)
いずれの場合も、元の写真の著作権や肖像権は保護されています。最も安全なアプローチは、実写をベースにせず、言葉だけで人物を描出させることです。
グレーゾーン2自分が撮影した写真のイラスト化
自分で撮影した写真をイラスト化する場合、著作権(の写真側)は自分にあります。しかし、写真に映っている人物の肖像権は、その人物に帰属したままです。
つまり、自分が撮影した家族写真をイラスト化して商用利用する場合は、その家族全員の同意が必要です。これを忘れて「自分の撮影だから大丈夫」と思うのは危険です。
ぶっちゃけこうした方がいい!
ここまで読んできた人は、すでに気づいているはずです。実写をイラスト化する際に最も重要なのは、技術ではなく「実写を参照しない」という決断です。
正直に言うと、プロンプトエンジニアリングの技術をどれだけ磨いても、元となる写真が存在する限り、著作権侵害や肖像権侵害のリスクは完全には消えません。むしろ、完璧に似ているイラストができればできるほど、法的リスクは高まるという皮肉な構図があります。
だからこそ、個人的には以下のワークフローを強く推奨します。
まず、プロンプトだけで人物像を完全に記述する習慣をつけます。「会社員の20代女性」ではなく、「営業職の明るい20代女性、デスクでPC作業中、午後の自然光に照らされた表情、清潔感のある配色」というように、シーンと環境までを含めて記述します。
次に、複数のバリエーションを生成します。1枚だけでなく、異なるプロンプトから5~10枚生成し、その中から「誰かに似ていない」ものを選別します。この段階では、迷った画像は容赦なく削除します。
最後に、選別した画像に対して必ず逆検索を実施します。Google Images、TinEye、ChatGPTの3つを組み合わせることで、かなり高精度に「これは安全な画像か」が判定できます。
実務的には、この3段階のプロセスを回すことで、法的トラブルとクリエイティブな満足度の両立が可能になります。
多くの人は「最短で完成させたい」という欲求から、実写をプロンプトに入力したり、既存の画像を参考にしたりしますが、これが最も時間を無駄にするアプローチです。なぜなら、後で法的問題が発覚して、使えなくなるからです。
むしろ、最初から「100%オリジナルなプロンプト」と「厳密な検証プロセス」を組み込むことで、確実に使用できるイラストを短期間で大量生成できます。これが、実は一番効率的で、長期的にはコスト最小になるアプローチです。
AI画像生成の時代では、「誰でも作れるものをいかに作るか」ではなく、「法的に安全でありながら、高クオリティなイラストをいかに量産するか」という視点が勝敗を分けます。Midjourneyの技術的な完成度が高まれば高まるほど、人間側が「何を作るべきか」という判断力が問われるのです。
よくある質問
無料プランで生成した画像の肖像権問題はどうなる?
無料プラン(トライアル)で生成した画像はCC BY-NC 4.0ライセンスが適用され、商用利用ができません。したがって、肖像権の問題以前に、そもそも商用利用自体が規約違反になります。ただし、非商用利用であっても、実在人物の肖像権は保護されるため、個人的な用途であっても肖像権侵害のリスクは存在します。
複数の人物の顔を合成したイラストなら大丈夫?
複数の人物の特徴を混ぜたイラストであっても、その結果が特定の著名人に似ていれば、パブリシティ権侵害のリスクがあります。ただし、複数の人物を融合させたことで、誰のモデルなのか判別できないほどになっていれば、リスクは低下します。しかし「誰にも似ていない」ことを立証するのは難しいため、グレーゾーンの判断は避けるべきです。
アニメ調やイラスト調で変換すれば大丈夫?
アニメ調やイラスト調への変換は、変身性が高まるため、法的には有利です。しかし、元の人物が十分に認識できるほど似ていれば、変身性があっても肖像権侵害となる可能性があります。例えば、著名人の特徴的なほくろや傷を含めてイラスト化した場合は、アニメ調であっても肖像権侵害と判断される可能性があります。
SNSに投稿されている写真なら自由に使える?
いいえ。SNSに投稿されていても、その写真の著作権と肖像権はその人物に帰属します。Instagram、TikTok、Twitterなど、どのプラットフォームであっても同じです。公開されている写真だからといって、自由に利用できるわけではありません。
商用目的でなければ肖像権侵害にはならない?
肖像権は、商用目的以外でも侵害となる可能性があります。例えば、友人の写真をイラスト化してSNSで公開した場合、その友人から肖像権侵害として告発される可能性はあります。ただし、商用利用の場合は損害賠償請求される可能性が高くなるため、非商用利用であっても注意が必要です。
まとめ
Midjourneyで実写をイラスト化する際の肖像権問題は、単なる「法律の知識」ではなく、実際のビジネスリスク管理です。実写がイラストに変換されても、肖像権やパブリシティ権の責任は消えません。むしろ、デジタル技術の進化により、法的な争点はより複雑になっています。
安全な利用のためには、無料プランではなく有料プランを使用し、完全オリジナルのプロンプトで生成し、人間による創作的編集を加え、類似性チェックを厳密に行うことが重要です。何より、グレーゾーンだと感じたら、その画像は使用を避けるべきです。迷う画像は、後からも迷い続けるため、最初から排除するほうが運用が楽になります。
2026年の著作権・肖像権環境では、AIツールの便利さと法的責任のバランスが重要です。正しい知識と適切な対策を講じることで、Midjourneyを安心して、かつ効果的に活用できるようになります。


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